高島市海津・西浜・知内の水辺景観 滋賀県湖西地域のほぼ全域を占める高島市は、近年の市町村合併で高島郡の安曇川町、今津町、新旭町、高島町、マキノ町、朽木村が合併して誕生した。総人口5万5千人足らずの過疎地域ではあるけれども、夏はビーチとキャンプ、冬はスキーで賑わうリゾート地としても知られている。
近江の二日め、今津の湖岸近くでカレーの専門店を発見した。店の名は「望雁」という。望雁とはMorganの当て字らしく、店内の壁には至るところにモーガン社のクラッシックカーの写真が貼ってある。また、この店の売りは「薪ストーブ」で、店の中央にどしりとストーブが置かれ、店外前庭には薪が山のように積み上げてあった。長閑な雰囲気のなかに、冬の寒さ、厳しさを想わせる。ここで京都新聞の滋賀版を目にした。いきなり一面に限界集落の話題がでている。滋賀県内に44の限界集落がある、という記事だが、これについては次回の話題としたい。
「望雁」から北上すると、まもなく滋賀県で二番目の重要文化的景観「高島市海津・西浜・知内の水辺景観」地区の南端に達する。まず芝生の浜地に出る。キャンプ地のようにもみえるが、キャンプは禁止されていた。道路(集落)側から湖に向かって突堤が伸びる。その突堤もすでに芝生のなかに埋もれている。こういう突堤や石組護岸をみると、近代化遺産の調査を思い出す。近代化遺産の調査には「土木遺産」として突堤や石組護岸も含まれていたからである。これらは、たしかに土木遺産であるけれども、同時に文化的景観な要素だというところが重要なポイントであり、土木遺産なら「点」だが、文化的景観なら「面」になるというところがすさまじい差異だということにも気付かなければならない。
このキャンプ禁止エリアをすぎると、こんどはオートキャンプ場やビーチが連続する。突発的な豪雨が過ぎ去った快晴の一日で、キャンプ場もビーチも大賑わいだった。文化的景観の重要な要素は集落の裏側に隠されていた。屋敷地の境に波除け石垣が連続する。このあたりは琵琶湖の幅がいちばんひろい地域で、季節風や波をまともにうけることから波うち際に近い屋敷地の裏側に背の高い石垣が発達し、波うち際にも石積みの護岸が築かれた。その遺構が一面に残っている。この地域は知内川を中心にアユ漁やビワマス漁が盛んなところで、ヤナ漁をはじめとする独特の漁法が発達している場所でもある。この日は、むしろレジャーとしてのハス釣を楽しむ旅客を多くみた。
さらに名勝地として、北端に「梅津大崎の岩礁」がある。波うち際の巨岩は大きな庭石のような迫力があり、その遠景に竹生島を望むことができる。
- 2008/08/02(土) 00:00:32|
- 環境|
-
トラックバック:0|
-
コメント:0