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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

奥の細道(Ⅳ)

荒川高原牧場02門脇


遠野荒川高原牧場の文化的景観

 一関から高速にのり、前沢パークで昼食をとることになった。前沢は和牛で有名なところらしく、昼から豪勢にステーキかバーベQをたいらげて意気軒昂に旅を続けたいところだが、ガードくんは「夏野菜カレー」が良いといい、KK館大学の女史は「義経そば」にするという。して、おじさん二人は「そば定食」とあいなりました。
 ドライバーの館長は県内2ヶ所の重要文化的景観に大変興味をもっておられるのだが、一関はともかくとして、遠野の荒川高原には行ったことがないという。どうやら、そうとう山奥にあるらしい。
 ここでわたしがアドバイスしたひと言が致命傷となった。

   「インフォメーションで訊いてみたらいいですよ」

 館長はこの言にしたがい、結構ながいあいだインフォーメーションで案内係の女性と話をしていた。わたしは悠々と紙コップ珈琲をのみながら、テレビのオリンピックに目をやっていた。そして、再出発。

荒川10看板01荒川11木柵01
 インフォーメーションの指示は遠野に近い北上インターではなく、北寄りの花巻インターで高速を降り、早池峰(はやちね)山沿いの山道を行くのが早いというものだった。これが大きな間違いで、早池峰山沿いの山道は狭くて蛇行が激しく、地図上の距離感よりも目的地ははるかに遠かった。また、あまりの僻地であるためガソリン・スタンドがなく、いったん山下の町まで下って給油したりしたものだから、時間はどんどん経っていく。夕方の山道はガスに包まれ、はたして自分たちは日本で五番目に重要文化的景観に選定された「荒川高原牧場」に辿り着くのかどうか、不安な時間をすごした。じゃり敷きの山道に幾度となくあらわれる雉(きじ)たちが、その不安な気持ちを和らげてくれた。かつて、館長は一戸で雉が獲れたと言って、冷凍でその肉を送ってきてくれたことがある。わたしは、どうやって食べたらよいのか分からず困ってしまったのだが、蕎麦の出汁を雉肉でとるのが最高なのだそうである。だから、雉をみると、館長はなんども車を止めたり、スピードを緩めたりした。東北の山中で雉をみるのはめずらしいのだという。ともかく、雉の数は尋常でなかった。おまけに、雉どもは車や人をおそれていない。おそらく早池峰山の周辺が自然保護区になっているから、これだけの数の雉が棲息しているのだろうと館長は推測されていたが、われらが鳥取環境大学の裏山にも雉は少なからず棲んでいる。

荒川高原牧場03荒川高原牧場04牛01 
 岩手県遠野市の荒川高原牧場(約14100ヘクタール)は、日本で5番目に選定された国の重要文化的景観である。この牧場は、夏の放牧地である。旧南部藩地域では、夏に家畜を山で放牧し、冬は里の厩(マヤ)で飼育する「夏山冬里方式」を採用してきた。これが南部駒の生産に貢献し、遠野の馬事文化や曲家(マガリヤ)を生む背景の一つとなっている。また、ご存じ、柳田國男の説話集『遠野物語』(1912)とも係わりが深く、荒川高原牧場の選定は、「遠野」の文化的景観全体の保護にむけた第一段階でもあるという。
 荒川高原牧場は中世以来の長期に渡る放牧の長い歴史をもち、早池峰山を望む雄大な自然景観に包まれているのだが、なにぶんこの日はガスがたちこめており、その全貌をみることができなかった。晴天の日にきていたら、さぞかし爽快な気分になったであろう。大半の牧草地は溶岩が露出しており、おそらく地皮は薄い。いまは柵だけが残っているのか、と思って車を進めていたところ、馬と牛があらわれ、そしてまた車道を雉たちの群れが駆け抜けていった。
 帰りは遠野市街地に向かった。道路はよく、山道では一度もみなかった「荒川高原牧場」の案内板もいくつもあった。前沢のインフォメーションで余計な情報を得なければ、この道をきていたのだ。まぁ、いいか。早池峰山の麓で、たくさんの雉に接することができたのだから。

  1. 2008/08/24(日) 03:05:32|
  2. 景観|
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