ヨークの卒業式 ソロの2曲めは今井美樹の「プライド」と竹内まりやの「元気をだして」のメドレー。演奏の前に、「この会場にいらっしゃるすべての女性に捧げます」という大見得を切りました。
ことの発端は、以前にお知らせしたように、カラオケなんです。ある女性が歌った「
プライド」にまわりのおじさんたちがジ~ンときちゃって、要するに、やられちゃって、こんな会話が交わされたのです。
「あのね、8月末に大山の別荘のウッドデッキでギターの会があるんだけど、そこで『プライド』歌ってくれませんか。わたし、ギターで伴奏しますから」
「えっ、そんな、とんでもない、人に聴かせられるようなもんじゃありませんから」
「なにいってんの、いま、みんなうっとり聴いてたじゃありませんか」
「えっ、でも、大山、遠いですね・・・わたし車に酔うんですよぉ」
「自分の車、運転したらいいでしょ」
「そうですね・・・でも、8月末は近すぎますよ、その次の会はいつですか」
「10月」
「会場は?」
「倉吉の近くかな」
「あっ、それじゃ、そっちにしていただけませんか。心の準備も必要だし、練習しないと恥ずかしいし・・・」
ここだけの話なんですがね、
薬研堀の鮎殿なんですよ、この歌のうまい人。ところがですね、わたしが夏のロング・バケーションを過ごして鳥取に戻ってきたら、彼女はドロンしてましてね。また、お茶屋辞めちゃったの・・・これで2度目だぞい・・・鮎殿は再び忍びの世界に戻っていったんですよ。
梟になっちゃった。おやじたちのショックたるや、いかほどのものか・・・遠くは福島、岩手から東京にまでファンがおりましてね、衝撃は全国にひろがりつつあります。
2.メドレー: プライド ~ 元気をだして というわけで、苦心して「プライド」の伴奏アレンジを考え始めていたわたしは、歌手を失ってしまいました。大役を果たせる代わりのボーカルなんて、そう簡単にみつかりませんからねぇ・・・仕方がないんで、「プライド」を独奏用にアレンジし直すことにしました。調弦はまたしてもダブルドロップDです。ちょうど
アレックス・デ・グラッシを聴いていたころで、タッピング・ハーモニクスを駆使しようと決めてたんですが、「
ムーンタン」の経験からタッピング・ハーモニクスにはダブルドロップDが最適であると判断した次第です。理由は、下の4弦(DGBD)がGコード、上の3弦(DAD)がDコードに対応しているから。但し、全弦半音下げの2カポにしています。
ここは難しいところですね。最初は12フレットの小型ギターで練習していたんです。12フレットのほうが、タッピング・ハーモニクスとパーカッシブ奏法を複合化しやすいし、弦のテンションもちょうどいい。ところが、弦を新品に張り替えたら調弦が不安定になってしまった。そこで14フレットのモーリスS92に変えて2カポにしたんですが、テンションがきつく、いったん全弦1音下げたところ、弾きやすくはなったんだけど、ハーモニクスが出にくくなってしまった。結果として、全弦半音下げの2カポに着地しました。余談ながら、プロのアコギストがしばしば2~3カポにする理由がわたしにはよく分からなかったのですが、今回の経験に照らすと、タッピング・ハーモニクスとパーカッシブ奏法を複合化しやすいからだと思えてなりません。
「プライド」という曲はベースラインのクリシェと代理コードとして使われているA♭7が鍵を握ってます。キーGとした場合、A♭7コード(A♭CE♭G)をサブドミナント=Cコード(CEG)の代理としているわけです。

その後、「プライド」だけじゃ単純だから、1曲メドレーでくっつけようと考えていたところ、なにかの拍子に竹内まりやの「元気をだして」が頭に浮かんだ。竹内まりやは、ご存知のように、出雲大社門前の旅館「竹野屋」の娘さんでして、わたしが京都の大学生だったころ、彼女は慶応に在学する女子大生シンガーソングライターで、すでに大スターでした。当時のヒット曲は「セプテンバー」と「不思議なピーチパイ」。その後、1982年の5月に山下達郎と結婚するんですが、同年8月29日にわたしも結婚しまして、そのまま北京に留学。ワイフは5日間だけ新婚旅行で北京生活を付きあってくれたんですが、すぐに帰国してしまいまして、わたしゃ涙にくれた。帰国後しばらくして、ワイフは竹内まりやの『Portrait』というアルバムを録音して送ってきてくれましてね。もう毎日、何回も聴いてました。日本とアメリカで離ればなれになった恋人が書いた手紙を歌にした「スペシャル・デリヴァリー」という曲の「ず~っと約束を破らな~い二人でいようね~」というフレーズが心に沁みて、新婚さんなのにひとりぼっちだった日々を励ましてくれました。そうそう、「ナタリー」という英語の曲も良かったな。バックにセンチメンタル・シティ・ロマンスを従えたカントリー風のポップスです。シティ・ロマンスのフラマンとコーラスが抜群に効いてます。

さてさて、「元気をだして」はもちろん竹内まりやの作詞作曲ですが、最初は薬師丸ひろ子のアルバム『古今集』(1984)に収録。後にまりやのアルバム『REQUEST』(1987)に再録され、シングルカットから大ヒット。ユーチューブで検索したところ、大阪中ノ島でのライブを発見。なんと松たか子とのデュエットで、バックにはコーラスとギターにこぶくろを従えてます(いま確認したところ、すでにこの映像は消えてますね)。わたし、松たかこも大好きなんですが、もう貫禄が違うってか、歌のうまさが2段階ぐらい上でしてね。竹内まりやの圧勝です。このライブを聴いて、絶対「元気をだして」をインストで弾こうと決心したのでありました(ほんとは歌伴のほうが良いけど)。
「元気をだして」って、ほんと凄い曲ですね。メロディラインももちろん綺麗だけれど、コード進行が練りに練られている。邪推かもしれませんが、山下達郎のアドバイスが効いているんじゃないでしょうかね。とくにⅦ系のコードの使い方がうまいですよ。キーをGとしたので、ⅦはF#m7♭5(F#ACE)か。ほかにC#m7♭5(C#EBG)がエンディングに使われてます。あとは長調から短調への転調も見事。「プライド」もそうだけれど、「元気をだして」を分解してみると、大ヒットした理由がよく分かります。
いや、一人よがりかもしれませんが、楽しかったな。Jポップ、恐るべし! 古いフォーク・シリーズは月太郎さんとのセットでやることにして、もう一つの路線はJポップだと思うに至っております。その延長線上として、チョトロク会長がつよく要請されるオリジナル制作に繋がれば最善ですが・・・
3.レッティン・ゴー Lettin' Go 「これまで5曲演奏してきましたが、アンドリュー・ヨークもこれが最後です。みなさん、退屈だと思いますが、お付き合いください」と前口上を述べてから、「レッティン・ゴー」に再挑戦しました。またしてもうまく弾けませんでしたね。やはり弾き込みが足りない。「ボルサリーノ」に時間を奪われたのが大きく影響したとはいえ、このレベルの曲をきっちり弾きとおすのは並大抵のことではありません。いちばんうまく弾けたのは、
ベトナムのホテルのロビーだったかもしれません。

前回記したように「レッティン・ゴー」はヨークのなかで最も好きな曲だから、もっとうまく弾きこなしたいんですが、すでに限界だと思うに至っております。「マーリーの亡霊」や「レッティン・ゴー」をきちんと弾きこなそうと思うならば、わたしは門脇先生のところに戻って指導を受けなければいけない。そういう教育をうけない限り、わたしの欠点は直らないだろうと思います。
ただ、まだ諦めたわけじゃありませんから。努力は続けます。でも、ヨークは弾きません。次回の準備はすでに始めていますが、それもやっかいな曲でして・・・でも、まぁ、チェスト! だ。自分を超えていこうぜ!!
というわけで、第9回の練習会も終わりました。またしても、楽しかったですね。ところで、今回、代表はちょっと酔っ払いすぎてましたよぉ。ちとヤバイところもありましたが・・・ひとりだけカツドン食べちゃったりしてね・・・まぁ、いいか。お疲れさまでした。それと、幹事のミフさん、ほんとうにありがとうございました。来年もクロバーデールで演奏するのを楽しみにしております。
- 2008/10/30(木) 00:03:12|
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コメント:2
「たけや」じゃなくて、「竹野屋」ですね。ただいま修正しました。ご指摘ありがとうございます。いずれ竹内さんの旦那さんの方もカバーしたいと考えております。松尾くんと目次さんによろしくお伝えください。
- 2008/10/30(木) 14:14:44 |
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- asax #90N4AH2A
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