「ドナ・リー」と言えばパーカーの名作ですが、ジャコのソロベースにぶっとんだ記憶がいまも生々しく残っています。ギターでは、ジョー・パスとニールス・ヘニング・エルステッド・ペデルセン(b)のデュオも火花散る快演でしたね。じつは、一昨日取り上げたビレリ・ラグレーンも「ドナ・リー」をジャンゴ・スタイルのジプシー・スィングで演ってます。
ここで、話は寺井尚子に飛ぶのです。彼女が昨年の11月、鳥取で公演したのですよ。バイオリンのカルテットでね。11月と言えば、父の葬儀からなにから多忙を極めていたころなんですが、会議でクタクタになった土曜日の夕方、ほとんど衝動的に寺井尚子のライブに直行したのです。もちろん、ひとりで。
よく眠れました。「良質の音楽は快眠を妨げない」という
相倉久人の仮説をまたしても実証してしまいました。寺井さんという方は、美人のジャズ・バイオリニストとしてよく知られています。たしかに綺麗な方でした。小柄ですが、スタイルもよくて、黒の衣装がよく似合う。結構、タイプですよ。で、40代後半ぐらいだろうな、って思ってたんですが、40歳なんだって。アラフォ~じゃなくて、ジャスフォーなんですよ。美人なのに、年増にみえるのは損してるなぁ・・・でも、タイプですよ、こういう方、くどいですが・・・楽器が上手い女性は、なべて気が強いですけども、まぁ、たまにはそういう人に叱られるのも悪くないですしね・・・なんちゃって、所詮は高嶺の花なんですが。

問題は音楽です。これ、ジャズなの?
どの曲もシャンソンに聞こえるんです。百歩譲って、ジプシー・スィングですね。ジャンゴの相棒だったステファン・グラッペリ(vl)の影響が強すぎるのかな?
コンサートからひと月ばかり経って、ユーチューブで「ドナ・リー」を漁っていたら、寺井尚子の「ドナ・リー」も発見しました。これが、やっぱりシャンソンに聞こえるのね。パーカーの代表的なバップがシャンソンに変わるんですよ。ラグレーンの「ドナ・リー」はジプシー・スィング調に意識してアレンジしたものなんだけれども、寺井尚子の「ドナ・リー」は自然体で弾いてシャンソンか、ジプシー・スィング???
ところが、経歴をみると、『スィング・ジャーナル』のジャズ・ディスク大賞かなんか立派な賞をたくさん受賞されていて、「信じられない」というのが正直な感想でした。勘違いしないでくだいよ、別に批判しているわけではありませんから。寺井尚子さんは大変高度な技術をもったバイオリンの奏者ですが、その音楽がジャズに聞こえなかった、という感想を述べているだけなんです。ジャズに聞こえなくても、寺井さんが好きな人はたくさんいるでしょう。実際、コンサートも盛況で、わたしのように居眠りしたり、辛口の批評してる方が例外なんだと思います。
ただ、驚いたのは、アンコールに3度も出てきちゃったことだな(アンコールで3回でてきたミュージシャン初めてですね、わたしの経験では)。1回めはさておき、2回めと3回めはそんなに催促してないのに、さっさとおいでなさいましたからね。ありゃ、ちょっと、はしたない。我慢して我慢して、それでも拍手喝采が絶えないから、「え~い、しゃあないか」と重い腰をあげて、短い曲をさりげなく弾き、深く頭を下げてサヨナラって手を振るのがアンコール・ワットってもんじゃありませんか。
尻が軽いのかな。
- 2009/01/08(木) 20:35:04|
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