
昨夜、お知らせがありましたように、
修士研究発表会が間近となりました。私の修士研究題目は 「水上集落と文化的景観 -世界自然遺産ハロン湾のケーススタディ」 でして、2007年のクアヴァン村調査に同行された平澤さん(奈文研)にも副査をお願いしています。当然のことながら、19日にご来聴いただき、修士研究発表会で諮問していただきたかったのですが、20~21日に「文化的景観研究集会」(奈文研)が控えており、スケジュールの調整がつきませんでした(研究集会には当方が出席します)。そこで15日(日)、わたしが奈文研を訪れてプレゼンテーションを行ない、講評を受けてきました。以下、講評の一部を紹介します。
1)論文の章構成の説明が足りない。だから、研究の主軸が分かり難い。
→たしかに、測量と配置図の図化、CGのシミュレーションの方法と成果の情報量がまだ不足しています。それらを急ぎ充実させんさければなりません。
2)発表項目のつながりが断続的である。調査・研究のフローチャートが欲しい。
→この点、私の力量不足です。至急、構成を再検討し、フローチャートを作ります。
3)序論にあたる「世界遺産」や「文化的景観」の説明が長すぎる。
→平澤さんはこの分野のプロなのでそう感じられたのでしょう。一方、教授は、大学で発表を聴く教員・学生は素人集団なので、大きく削ると逆に混乱を招くと発言されました。発表会本番では社会環境学や情報システム領域の教授陣や学生も聴くわけですから、スライド2~3枚というわけにはいきませんが、バランスを考えて調整しようと思っています。
4)発表時間の割にスライド枚数が多い。「ちなみに」という発言が多く、情報が拡散してしまう。
→スライド数は圧縮し、発表用原稿を下書きしておきます。
5)家船期の復元根拠が分からない。
→これについては教授からも厳しく批判されました。居住動態の調査を担当された准教授と協議の上、根拠を明確に述べるようにします。
6)A期[家船群]からB期[筏住居群]の持続性についての説明がない。
→わたしは論文に書いていません。代わって、教授が説明されました。家船期は陸地の民家集落で言えば「中世の掘立小屋」、筏住居期は「近世の礎石建民家」の段階。別の表現をするならば、前者は茅葺き、後者は瓦葺きのようなもので、持続性は十分ある。問題はビルディング化した建物がたつC期であり、ここはB期から断絶しており、ハロン湾の景観を悪化させる。これについても、論文に書きます。
7)B期の景観CGを制作にするにあたり、筏住居の類型ごとにモデルを制作したはずだが、それが示されていない。
→たしかに、エアポート君が実測・作図した類型ごとに3Dモデルを示し、集落のどこにどの類型を使ったのかを示す必要があります。
8)研究の結論については、世界遺産における「文化的景観」を扱っているのだから、世界遺産の定義に則してハロン湾の水上集落景観が「継続してきた景観」であると評価を導けるよう記述しなければならない。これは、上記6)の問題と関わってきます。また、フィリピンの「コルディレラの棚田」と比較すると景観保全の問題点が鮮明にみえるのではないかとアドバイスを受けました。そして、ハロン湾の漁民には、筏住居が悪いものではないことを納得・理解してもらい、その水上生活の工夫を再評価し、新しい要素にバランスよく転換させることで景観の破綻を免れるように保全計画を提案していくべきであるといわれました。

早くも2日後には発表本番です。以上の指摘を踏まえて、できるかぎり良いものとなるようしていきます。これまで教授にはご苦労をお掛けしている分、よき恩返しできるように研究内容を仕上げなければなりません。(ホカノ)
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- 2009/02/17(火) 01:11:16|
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