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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

またしても、朗報!

 3月1日(日)の朝9時、鳥取に帰っているタクオが寺町の下宿にあらわれた。この日、梨花ホールの卒業研究展をみて、二人で松江に移動することになっていた。
 卒業研究展は最終日。じつは、ここだけの話なんですけどね、キム姉の卒論は製本されて並んではいるものの、オープンニング段階では文章だけで、図・写真が挿入されていなかったんです。要するに未完成作品を陳列していたわけで、オープニング・パーティの夜、「急いで図・写真をレイアウトしなきゃ駄目だぞ」と忠告しにいったところ、ああいう顛末になってしまったんですが、そのときの答弁は「毎日少しずつ差し替えていこうと思ってる」ってことでした。
 ところが、最終日に論文をみると、やはり図・写真が入っていない。タクオにも、その状態をみせて、「こりゃ受賞は危ないね・・・」と互いに言葉を交わし、説教のメールを入れざるをえないな、と思案にくれながら、他の作品や論文パネルをみてわまっておりました。
 タクオはやはりエアポートの「仏を超えた信長」に見入ってました。「よく調べている」との誉め言葉を頂戴しましたよ。まだ朝早くて、客足が少なかったんですが、他のお客さまもいったん「仏を超えた信長」で立ち止まる。隣の「続・加藤家住宅修復プロジェクト」(ピヴォ)や対面の「水上集落と文化的景観」(ホカノ)は素通り状態ですね。ふたりの研究はたいしたものなんです。指導した者にしか分からないのかな・・・「水上集落と文化的景観」はパネルもスマートだと思います。水色と薄黄色の枠が「水上集落」のイメージとよく溶け合っており、単純な3段組のレイアウトは非常に読みやすい。レイアウトの凝り方から言えば、部長やキム姉のほうが上だけれども、読みやすさと爽やかさではホカノが勝っている。それにしても、北京の国際学会であれほどうけた世界自然遺産ハロン湾の研究が、鳥取に戻ると反応がもう一つなのは残念なことです。
 半時間ばかり作品と論文パネルをみてまわり、一周してキム姉のところに戻って論文をめくり、驚いた。図と写真が全ページに納まっているんだもの。あたりをみまわしても、影はない。受付に坐っている4名の男子学生に訊ねたのだが、「知りません、見ませんでしたよ」とかれらも呆気にとられている。
 キム姉は「くのいち」だったのかな・・・梨花ホールの天井から、ピアノ線に釣り針をつけて古い論文をもちあげ、新しい論文に差し替えたのか。それとも、事務員かだれかに変装して、だれにも気づかれないように論文を差し替えたのか。いや、恐るべし・・・

出雲座談会0103タクオ01展示


 時は流れて、いまは3日の昼下がり。さきほど学科会議が終わりまして、今年度の受賞作が決まりました。
 まず作品部門。なんど展示をみなおしても、岡垣の「仏を超えた信長」は突出していて、ほかに対抗できる作品があるとすれば、リラックマさんの「フリースクール計画」だけだろうと思っていたところ、11名の教員のうち10名が両者に投票をしており、同点1位でした。だから、どっちが1位でどっちが2位ということはないのですが、金賞は日本建築学会卒業設計展全国巡回展に出陳、銀賞は『近代建築』誌の卒業設計特集に掲載という役割分担がありまして、「仏を超えた信長」が近代建築なわけはなく、学会むけだということで、岡垣が金賞とあいなりました。ピヴォ(福井)の作品は素晴らしいのですが、いかんせん、作品をホールに運べなかったのが無念だね・・・でも、福井の仕事は作品部門の3位ぐらいにあたるレベルだとわたしは確信しています。

 一方、論文部門はキム姉(木村)の「限界集落と文化的景観」が8票で1位、部長(今城)の「文化的景観としての中世山城と城下の町並み」が6票で2位でしたが、6票は3名いて、大混戦。まず8票を獲得した木村の論文について講評を求められたので、指導教員としての感想を述べました。展示された論文に図・写真が含まれていなかったことはもちろん黙っておいたんですが、「木村は就職活動が響いてラスト・スパートの伸びがなく、今城の論文のほうが密度が濃い」と評価しました(キム姉さん、ごめんなさい!)。しかし、「2票差は大きい」として跳ね返されました。どの先生も、テーブルの上においてあった論文をめくってないんだな・・・展示パネルをみると、両者に大きな差はなく、どちらが1位でもよいのですが、今城の場合、やはり公聴会の質疑でフリーズしてしまったことがマイナスに働いたのかもしれません。
 それから6票を獲得した3名をどうするかで、しばし議論が続いたのですが、3人の指導教員が一人ひとり応援演説をすることになり、「今城が金賞だと思っていたのに、なんでこんなに票がのびなかったのか、指導不足を痛感してます」と反省の弁を述べると、T准教授が「わたしも、今城さんが金賞だと思います」とサポートしてくれて、なんとか銀賞に落ち着いた次第です。
 とにもかくにも、論文部門は4連覇をなしとげ、制作部門は宮本(2期生)以来、3年ぶりに金賞を獲得しました。受賞した3人だけでなく、ピヴォを含めて4人全員に感謝の気持ちをあらわしたいと思います。

  2008年度鳥取環境大学環境デザイン学科卒業研究受賞作

1.作品部門
   金賞: 岡垣頼和「仏を超えた信長 -中世城郭関係遺構の解釈と復元:安土城
              見寺本堂の設計を通して-」

2.論文部門
   金賞: 木村 歩「限界集落と文化的景観-三朝町中津と智頭町板井原の
             ケーススタディ-」
   銀賞: 今城 愛「文化的景観としての中世山城と城下の町並み-若桜鬼ヶ城と
             その周辺環境を中心に-」



  1. 2009/03/03(火) 18:26:56|
  2. 研究室|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:2
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コメント

お疲れ様でした。

お久しぶりです。
卒業をしてから毎日かかさず、こっそりとブログを見させてもらっています。
あつかましいとは思うのですが、出来たら一冊頂きたいです!
宜しくお願いします。
  1. 2009/03/03(火) 22:19:37 |
  2. URL |
  3. 西河♂ #-
  4. [ 編集]

西河♂くん

ご無沙汰しています。
元気にしていますか。いつもお歳暮やお中元ありがとう。ほんと、研究室の鏡です。後輩諸君、西河夫妻を見習いましょうね。
冊子についてはホカノに手配させます。ホカノにも直接連絡してください。
なお、チャックも祝福のメールをくれました。チャック用の冊子はエアポートが手配してください。
  1. 2009/03/03(火) 22:24:34 |
  2. URL |
  3. asax #iwAM15Gg
  4. [ 編集]

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