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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

条件変更による事実上の内定取り消しについて

 「内定取り消し」に怯えていたのは、いまはなき某院生君であったが、かれはおそらくすでに辞令を頂戴して関東で研修を始めていることだろう(大丈夫かな?)。

マドモアゼル 人ごとではなくなった。次女が被害にあったのだ。なかなか質の悪いやり方です。「内定取り消し」の通知を使わずに、入社を自主的に断念させようという狙いが透けてみえる「店舗閉鎖=人事異動」の手口。今回の場合、なにより通達の「時期」が尋常ではなかった。

 事件が勃発したのは3月27日。娘の就職内定先から一通の速達が届いた。封筒をあけると、「日本の経済環境を踏まえたグループの方向性」と題する書類が入っている。世界的金融危機による経済環境の悪化に早急に対応するために本年8月1日をもって大阪店を閉店する、という通達である。次女はこの大阪店で働くことになっており、昨年10月より月に2回のペースで研修に通い続けてきた。会社によれば、この研修は「バイト」であり、バイトに来ない内定者もいるから雇用とは関係ないというが、次女は大阪店での就労を前向きにとらえて研修に通い続けてきたのである。

 最後の3行にはとくに注目されたい。

   大阪店を8月末退去とし、大阪店勤務予定者に関しましては、4月1日より
   実施します研修の状況によってご本人の適性を判断させていただき、
   勤務地変更を行います。勤務地変更に関しましては追って通知致します。

 母親の病状のこともあり、奈良の自宅から通勤できる範囲で就職先を探してきた次女にとって、大阪店の閉鎖は事実上の失職を意味する(他の店舗は東京と静岡のみ)。
 さて、この文書は2009年3月17日付の発行となっている。しかし、封筒のスタンプをみると、3月26日午後に奈良西郵便局に届いたことが分かる。わが家に届いたのは翌27日。

   3月27日にこの文書を受け取ったのです。

 投函地は静岡。「速達」の朱印が押されているので、投函日は3月25日と思われる。一方、次女の大学の卒業式は3月21日であった。学位を授与された後にこのような文書で通知されても、次女には選択肢が2つしか残されていない。一つは就職を断念すること、いま一つは内定先の指示に従って入社し、8月末まで大阪店で働くこと、である。
 次女はたちまち入社の意欲を失ってしまった。28日・29日は土日なので、会社にも大学にも連絡はとれない。30日(月)になって、娘は朝から大学にでかけ、就職担当者と話し合ってきた。担当者によれば、こういう「条件変更」等による就職意欲の喪失を狙う手口はいくつか報告・報道があるけれども、「内定取り消し」ではないので、大学側としては抗議しにくいし、抗議しても効果はない、と言われたという。

条件変更01内定取消01記事
↑朝日新聞夕刊(大阪本社)2009年3月31日の記事。
 「続き」に分割掲載した画像をクリックすると、
 文字が読めます。


 午後になって、わたしは娘の就職内定先の人事担当に電話し、文書の責任者である代表取締役との話し合いを要望した。半時間ばかりして、代表取締役の携帯からわたしの携帯に電話がかかってきた。向こうの主張は、予想どおり。これは「内定取り消し」ではなく、「静岡で1ヶ月研修の後、適性を判断し、ふさわしい部署に配属する異動」の通知であることを繰り返し述べた。わたしは、この通達が事実上の「内定取り消し」を意味することを承知してはいたが、「内定取り消し」か否かを問うても勝ち目はないと判断していたので、焦点を「時期」に絞った。また、議論の前提として、わたしは自分の素性をあかした。内定者の親である自分が私立大学の教師であり、勤務する大学でも「内定取り消し」問題が騒動となり、その尻ぬぐいに大学が奔走してきたことを予めお知らせしたのである。

 さて、次女への通達文書であるが、なにより不思議に思うのは、日付が3月17日となっているのに、投函日が3月25日まで遅れてしまったことである。これは致命的な時間差だと言える。かりに文書がプリントアウトされた(であろう)17日に速達で投函されていたとすれば、遅くとも19日には自宅に届いたはずである。卒業式の21日以前に書類を受け取っていれば、娘は大学との協議などにより「就活のための留年」というオプションを選択できる可能性が残されていないわけではなかった。しかし、文書をうけとったのは27日である。すでに大学に籍はない。繰り返しになるが、こんな時期に通達を受けても、娘に残されたオプションは二つだけ・・・入社かフリータのどちらかだけである。
 こういう条件変更を強要しようとする場合、どんなに遅くとも期末試験の前までには内定者に通知すべきであろう。そうすれば、短期間ながら就職活動を再開できるし、それが叶わなかった場合でも、卒業予定者は一部の試験を意図的にパスして単位不足とし、「就活のための留年」を選択できる。4月1日まであと4日しかない時点で、事実上の「内定取り消し」にあたる店舗閉鎖の通達が届いたのだ。悪質きわまりない手口というほかなかろう。
 条件変更01内定取消01記事a 条件変更01内定取消01記事b
 この事件は次女個人の問題にとどまらない。就職活動をしている若者すべてに係わる。就職活動している多くの若者が不利益を被っている現状にあって、こういう手口が現実に存在することを公開することに意義はあるだろう・・・さて、どうしたものか、と思案していた翌日(3月31日)、まず厚生労働省が悪質な内定取り消しをした企業名の公表に踏み切った。ついで、朝日新聞(大阪本社)の夕刊に「入社直前に条件変更」と題する5段ぶち抜きの記事が掲載された。嫌がらせとしか思われない「配置換え」や「自宅待機」の通達を紹介する記事の冒頭に「大阪営業所の閉鎖」の事例がでていてる。「母子家庭で、母と同居して実家から通える」と期待していた広告会社の大阪営業所を閉鎖するので、東京で働いてもらう、という通達が2月中旬にあったので内定先への就職を断念し、就活を再開して3月25日にメーカー事務職の内定をもらったのだという
 次女のケースとよく似ている。ただし、次女に文書が届いたのは2月中旬ではなく、3月27日であった。

  1. 2009/04/02(木) 00:17:20|
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