
3月14日、ネパール旅行最後の一日の昼下がり、半時間だけタメルという下町の商店街で買物をした。わたしはCDショップに直行。ベトナムと同じで、英語版のジャケットに漢字タイトルを貼り付けた中国からの輸入盤が溢れている。時間がなかったから、選ぶ余裕もへったくれもなく、だっだだだっとCD6枚、DVD2枚を買い漁った。
ミニバスに到着する直前、「タメぶら」されていた
ご婦人二名と合流。合流するや否や、高山さんはわたしの買物袋を許可なくとりあげてCDをじろじろチェックし、セレブ調に申されました。
「あっ、ジャック・ジョンソン、お好きなんですか・・・でも、ニール・ヤングは
ちょっとオジサンって感じ・・・」
(オジサン??・・・オバサンがオジサンって言うな!)
今回の拾い物は2枚組DVD『爵士四重奏-完美之夜演唱會實況-』。「爵士」を北京語で読むと「ジャンシ」ですが、広東語だと「ジャッス」に変わる。ここまで書けばおわかりでしょう。「
爵士」は「ジャズ」。だから、「爵士四重奏」を直訳すると「ジャズ・クァルテット」となります。もちろん、そんな固有名称をもつバンドは存在しない。「
フォープレイ」のことですね。
オリジナルのDVDタイトルは『An Evening of Fourplay』。1994年のリリースだから、まさに第1期フォープレイの全盛期にあたる。フォープレイの結成は1990年で、デビュー作『フォープレイ』(1991)、第2作『ビトゥイーン・ザ・シーツ』(1993)、第3作『エリクシール』(1995)がいずれもゴールド・ディスクを獲得し、第3作はグラミー賞にノミネートされた。
じつは、ほとんど毎晩、このDVDを視ながら眠りについている昨今です・・・睡眠をいっさい妨げない心地よい音楽に感謝。
リー・リトナーというギタリストには偏見を抱いていた。正直、脱帽しました。これまで『キャプテン・フィンガー』ほか3~4枚のリーダー・アルバムを入手し聴いてきたが、あまり良い印象をもっていなかった。ジャズ系というよりもロック系のフュージョン・ギタリストで、ラリー・カールトンの『夜の彷徨』に匹敵するようなインパクトのあるリーダー作はない(と思っていただけで、ほんとはアル)。わたしのなかでは、あきらかにカールトンのほうがお気に入りだった。ところが、第1期と第2期のフォープレイを比較して、リトナーを擁する第1期のほうがはるかに評判が良く、その理由をはかりかねていたのである。
果たして第1期と第2期をCDで聴き比べると、たしかに第1期のほうが心地よい。その印象は、このDVDで決定的になった。リー・リトナーはジャズ・ギタリストですね。大変な技術と感性をもったジャズ・ギタリストだ。スムース・ジャズは優しい「草食動物」のような音楽ですが、聴き心地の良さと反比例するように高度な技術と音楽のセンスを要求される。それはなによりリトナーの演奏を映像でみていただけばよくわかるでしょう。ジャズというのは、要するに、コードが変わるたびにスケール(音階)を替えてアドリブする音楽なのであって、ロックやブルースのようにスケールが単調ではないから、同じ速弾でも格段と難しい。リトナーはそれを涼しい顔してやってます。そうだな、ベッケンバウアーのサッカーみたいな感じかな・・・顔もよく似ているし、仕草が女性っぽいっていうか、難しいことやってるのにそれを感じさせないたおやかさが二人にはある。
ちょっと大袈裟かもしれないけれども、
ジェフ・ベックが「肉食動物」系ギタリストの頂点とすれば、リトナーは「草食動物」系ギタリストの頂点と言ってよいのではないだろうか。となると、ラリー・カールトンはどう位置づけるべきなのか。かれはもともとクルセイダーズのギタリストですからね。ルーツはブルースとファンク。ジャズが弾けないギタリストではもちろんないけれども、「草食動物」にはやや遠い・・・リトナーに比べれば遠いように映る。(続)
- 2009/04/11(土) 00:06:18|
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