
ひょんなことで小さなショルダーバッグがみつかった。草色の布地のバッグ。だれがどうみても軍事用の布袋だ。なぜこのような布袋がわが家にあるのか。薄れた記憶を呼び戻して、つらつら考えるに・・・おそらくハノイでTシャツか何か土産物を買った際、おまけにもらったものじゃないかな・・・ほら、ボタン留めのバッジは赤い星でしょ。
ベトナム国旗は赤地に黄色の星だけれども、赤い星はベトナム社会主義の象徴でもある。いや、中国も人民帽の真ん中に赤い星のバッヂがついているな・・・
フタをあけて驚いた。フタの裏面に以下の記載あり。
五六式762班用機搶
弾 鏈 盒 袋
3521 六九年度制
機搶(ジーチァン)は機関銃、鏈(リェン)は鎖、盒(ホー)はフタ付のいれもの、袋(タイ)はバッグのことである。和訳してみよう。
五六式 762班用の機関銃
ベルト状につないだ弾丸を入れるフタ付布バッグ
3521 一九六九年度制作
1969年と言えば、ベトナム戦争の転機となった年である。前年の旧正月(テト)、ベトコン・北ベトナムの大攻勢がはじまり、米軍は劣勢を強いられた。翌年、南北ベトナム、解放戦線、アメリカの4者によるパリ和平会談が始まる。
その年にこの弾入れバッグは制作されたことになる。というのは真っ赤な嘘で、このバッグは1969年に制作された弾入れバッグのレプリカ商品である。生地もボタンもバッジもみな新しい。しかし、それでも、中国人民解放軍がベトコン・北ベトナムを支援したことの証だと思いたい。なにぶん記憶があいまいで、ひょっとしたら、訪中の際に仕入れたものかもしれない、と少し不安になってきたのだが、ベトナム戦争に中国軍やソ連軍が参戦していたことはもはや常識の範疇に属すであろう。中国を彷徨していると、ベトナムで従軍した経験のある老人にもまれに出会う。
さてさて、数日前、
コロポックルズがトリオで研究室にやってきた。お土産は「香住鶴」。2時間ぐらいおしゃべりしたかな。そうだ、この小さなショルダーバッグを「香住鶴」のお返しにしようか・・・なんて一瞬閃いたのだが、よく考えてみれば、ここ数年使い続けてきた黒いショルダーバッグの金具が壊れて使えなくなっていたんだ。草色をした機関銃の弾入れはその代用品としてぴったりのサイズをしている。
しばらく愛用します。
- 2009/04/16(木) 00:43:33|
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