
おひさしぶりです。TO.YO です。5 月15 日(金)のゼミでは、氷ノ山へ見学に行ってきました。まず若桜町茗荷谷(みょうがだに)の集落へ。ここは現在の世帯数が6 戸にまで減っています。 私は去年のプロジェクト研究「
限界集落アンソロポロジー」のときに茗荷谷集落を一度訪れたのですが、そのときは
紅葉していた森が今回は新緑でした。紅葉もいいですが、新緑も清々しくて気持ちが良いです。ぜひとも紅葉の風景と比べてみてください。すぐ側の渓流の音もとても良い感じ…。マイナスイオンがたくさん摂取できそうでした。若桜の特徴である杉林も見られます。

茗荷谷の民家は、平野部の農村地域に一般的な田字型(四間取り)ではなく、「竿屋造」と呼ばれる横長長方形の平面です。斜面に対応した建築で、宮崎県や奈良県の山間部の例が全国的には有名だそうですが、若桜にもこういう民家があることを知りました。屋根は切妻造鉄板葺きですが、昔は杉皮葺きだったはずだと先生はおっしゃっていました。
このような人の生活と自然とが融合した美しい風景ですが、人が誰もいなくなってしまえば、やはり作り上げられていた風景は損なわれ、廃れていってしまいます。こういった建物・杉林・渓流・段々畑を一体としてとらえ、「文化的景観」として保護・再生しようとする動きが全国的にひろがりつつあり、それを学ぶため、先週の「横尾の棚田」に続いて、今週は氷ノ山山麓を訪問したのだと教えられました。

茗荷谷から少し上に行ったところに、舂米(つくよね)という集落があり、こちらは新しい建物がたくさん建っていて、人口もそこそこいそうな感じがします。じつはこの家並みは氷ノ山スキー場の民宿街でした。昔から峠越えのための宿場街として賑わっていたのだそうです。また、茗荷谷とは違い土地も開けていることから、農地が取り易く、日当たりも良いため、土地利用がし易いことからさびれにくいとのこと。少し距離が離れているだけなのに、一方は「限界集落」化しているのに対して、他方はまだまだ人がいる、という対照性がはっきり分かって印象深かったです。舂米の民宿街からさらに上がって、「舂米の棚田」の全景を俯瞰しました。「
横尾の棚田」と同じく、「日本の棚田 百選」に選ばれています。氷ノ山のスキー場の眼下に広がっていて、とても優美です。

天気もよく、青空が水面にうつって綺麗でした。「横尾の棚田」は緩傾斜地に形成され、畦を石積みにしていませんでしたが、こちらは石を積んで段をつくっています。下からみると、石積みも心が和んで良いですね。ここでもオーナー制度を実施しており、年間費3万円で棚田のオーナーになれるそうです。
ここからまた少し上がっていくと、「氷ノ山自然ふれあい館 響の森」があります。その中心施設である「響きの森」でゼミ生全員が1週間の活動成果のチェックを受けました。建物内にさまざまな展示物があり、氷ノ山の森で見つけられる植物や、動物の痕跡などの写真をみて楽しみました。
天気にも恵まれ、少し肌寒かったですが清々しい一日でした。(3年 TO.YO )

*小さな写真をクリックすると画像が拡大されます。
- 2009/05/19(火) 00:11:05|
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