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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

満員御礼!

01弥生博01講演01全景01

 大阪府立弥生文化博物館を訪れるのは、たぶん十年ぶりのこと。どうやって行くのかさえ覚えていないので、前夜、ネットで路線を調べた。JRで天王寺から鳳(おおとり)経由、信太山(しのだやま)下車だって・・・結構、複雑な乗り換えで不安になった。だから、当日は早めに出発。午後1時に入館との連絡をいただいていたのだが、信太山に着いたのは12時過ぎ。「喫茶店ぐらい近所にあるだろう」と歩きはじめたのが甘かった。古い街並みを蛇行しながら博物館に向かい、国道26号線にでた瞬間、マックの看板が目に入った。まぁ、マックでも仕方ないと思ってとぼとぼ歩いていたら、マックの看板が消えてしまった。幻影だったのか・・・博物館前の交差点で360度ぐるぐるみわたすのだが、マックはおろか喫茶店らしきものは皆目なく、ただ1軒のラーメン屋が近くにみえた。
 ラーメンがこの肥満体によいわけはないので、行こうかどうか悩んだのだが、喫茶店がないのだから仕方ない。店の門前までとぼとぼ歩いていった。すると、行列ができている。そんなに美味いラーメン屋なのですかね、この店は・・・仕方ないので後戻りし、博物館に入って受付のお嬢さんに「カフェはないんですか?」と訊ねたところ、彼女は困ったような顔をして、「自動販売機しかございません」と答えた。
 2階の展示室に上がった。わたしは博物館の展示を時間をかけてみるような実直な男ではない。ただ、ぶらぶら歩いていた。すると、常設展示室の竪穴住居の前でS先生とばったり。民博名誉教授のS先生である。20代のころ『日本のすまいの源流』シンポでお世話になり、30代の終わりに主催した『先史日本の住居とその周辺』シンポでは顧問のような立場でご出席いただいた。それ以来の再会で、わたしの講演を聞きにきてくださったのか、と思うと感無量。話がはずんだ。
 1時になったので、受付に戻って「じつは講演会のスピーカーなんです」とお嬢さんに告げた。以前お知らせしたように、5月31日(日)は特別展「弥生建築-卑弥呼の住まい-」の考古学セミナー第3回の講師を依頼されていた。まもなく、金関館長以下スタッフの皆様がお迎えにきてくださった。控え室には旧知のHさんもあらわれた。やはり話が弾んだ。小一時間があっというまに過ぎ去り、講演会開始の午後2時になった。

02弥生博01講演02ご静聴01

 ありがたいことに満員御礼。客席に空きはない。来聴者は130名だったそうだ。講演のテーマと構成を以下に示す。

    弥生建築の実証的復元 -青谷上寺地遺跡の衝撃-

     1.青谷上寺地遺跡と出土建築部材
     2.弥生時代「最長の垂木」による大型建物の復原
     3.弥生時代「最長の柱」による「楼観」の復元
     4.倭人伝にみる建築表現 -弥生建築と漢代建築-

 青谷上寺地の建築部材に係わる講演は何度もしてきたが、今回はそれらを総括するもの。この3月末に発表したした論文「青谷上寺地遺跡出土建築部材による弥生建築の復元」(鳥取県埋蔵文化財センター編『青谷上寺地遺跡出土品調査研究報告4 建築部材(考察編)』、2009)に対応すると言ってよい。

03弥生博01講演03座談会01 講演は予定より5分超過し、3時35分に終了。わたしのスピーチは他の研究者と比べて短いほうなのだが、今回は1時間半もしゃべってしまった。結構、調子が良かったのかもしれない。それから金関館長との対談で、司会のGさんをまじえ質疑応答。館長が客席のI先生(元橿考研)に話題を振った。S先生だけじゃなく、I先生までいらっしゃっていたのだ。I先生は「鳥居組」について質問された。わたしは、そこでS先生にも話題を振った。こうして、客席と一体になった座談会が続き、一般来聴者からのご質問もたくさん受けた。気がつけば、時計の針は4時20分を過ぎており、閉会となった。
 とても楽しい講演会でした。弥生文化研究の本場で、こういう機会を与えていただいた館長以下、博物館のスタッフの皆様に深く感謝申し上げます。


 
02弥生博01講演04暗い部屋

 講演会が終わって、まずはS先生、I先生と記念撮影をさせていただいた。そうこうしていると、神戸大学のKさん(出雲大社本殿の復元で競った五人のうちの一人)があわられた。どうやら、弥生建築の復元に係わる仕事を抱えられている模様・・・そして、最後にあらわれましたよ、ヒゲおやじ。奈文研の副部長に昇進されたFさんでございます。逃げ回っていたんですが、ついに捕まってしまいました。原稿、催促されてるんです。
 Fさんは青谷上寺地の委員会でも一緒でしたが、弥生時代の専門家なので、しょっちゅう弥生博に来られているらしく、なんかもうホームグラウンドみたいに館長室に居座って、館長、Gさんたちとずっと雑談が続きました。館をでたのは5時半ぐらいだっただろうか。それから二人で喫茶店を探し回り、やっと一軒、パン屋さん附属のカフェを発見。そこで、某原稿をどうして仕上げるか、について打ち合わせとあいなりまして・・・逃げ回っていたわたしは、ついに白旗をあげたのでした。なにぶん気持ちのよい一日でしたからねぇ・・・ぶすっとして執筆を断るような気分じゃなかったな。というわけで、最後はまんまとヒゲおやじさんに降伏させられたのだけど、この忙しいなかで、ほんとに上手くいくだろうか??
 そういえば、F副部長によると、奈文研の若手が何名か聞きにきていたとのこと。ちょっと声をかけてくれればよいのにねぇ。

 04弥生博02記念撮影01 05弥生博02記念撮影02



【青谷上寺地建築部材に係わる主要研究業績】

・浅川滋男『「楼観」再考 -青谷上寺地のながい柱材をめぐって-』青谷上寺地遺跡
       特別講演会記録集、鳥取県埋蔵文化財センター、2007
・浅川滋男『弥生時代「最長の垂木」の発見と復元 -山陰地方の大型掘立柱建物-』
       青谷上寺地遺跡特別講演会記録集、鳥取県埋蔵文化財センター、2008
・鳥取県埋蔵文化財センター(編)『青谷上寺地遺跡出土品調査研究報告3 建築部材
       (資料編)』、2008
・浅川滋男(編)『山陰地域の弥生時代建築に関する実証的復元研究』とっとり「知の財産」
       活用推進事業助成研究報告書、2008
・鳥取県埋蔵文化財センター(編) 『青谷上寺地遺跡出土品調査研究報告4 建築部材
       (考察編)』、2009 (浅川・嶋田「青谷上寺地遺跡出土建築部材による弥生
       建築の復元」巻頭図版1~8、本文p.27~72、図版1~14)




  1. 2009/06/04(木) 00:32:01|
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