第5章 鳳姐(王煕鳳)の策謀p.24-29:小山訳
1. 賈珍の父、賈敬の誕生日が来たので、障舶v人(賈赦の妻)、王夫人(賈政の妻)、
鳳姐(王煕鳳)と賈宝玉は寧国府(栄国府の親戚筋にあたる家系の邸宅)へ行き、
賈敬のために長寿を祝った。賈珍の妻、尤氏と大勢の人達がいて、一堂に会して
おしゃべりしていると、息子(賈蓉)の妻(秦可卿)の病気の話題が始まった。
【セリフ】 尤氏「この子は、半月あまりずっと病気で食事を欲しがらなかった。」
2. 王煕鳳は会食のあと、秦氏(秦可卿)の見舞いに訪れた。王煕鳳に会うなり、
秦氏は起きあがって出迎えようとしたので、王煕鳳はあわてて歩み寄り、
彼女を起きあがらせないようにした。
【セリフ】 王煕鳳「急に起き上がってはいけません。急ぐとめまいがしますよ」
3. 王煕鳳は秦可卿を長いことなぐさめた後、その場を去った。寧国府の花園へ行き、
歩いて一歩進むたびに、園中の景色を称賛した。
4. 突然、賈瑞が築山の後ろから顔を出して、王煕鳳をからかった。王煕鳳は彼の思惑を
理解し、作り笑いを浮かべながら適当に賈瑞に合わせてみせた。
5. 秦可卿の容体はますます悪化した。この日、王煕鳳が彼女を見舞って帰ろうとしたと
きに、侍女の平児が言うには、
「賈瑞さまがやって来て、奥様(王煕鳳)が在宅かどうかを伺って行かれました」
6. 王煕鳳は賈瑞を招き入れ、心を込めたふりをして茶をすすめ、席をすすめた。賈瑞は
興奮して、耳をつまみ頬を掻き、好色さを匂わせながら王煕鳳の元を訪れた。
7. 王煕鳳は声をひそめて、言った。
「こういう事情を女中達に笑い話として伝えるよりも、夜に西側の
穿堂(通り抜けの広間)で私を待つほうがよいと思うけど・・・」
8. 賈瑞は彼女の言葉を信じ、それが本当だと思い込んでしまい、凍てつく寒さに耐え
忍びながら、身をまるめて賈家(栄国府)の穿堂に一晩中いて待っていたが、
ついに王煕鳳には巡り会えなかった。
9. 賈瑞はやはり諦めきれず、また王煕鳳を訪ねた。王煕鳳は策略を巡らせ、
[自分の代わりに]賈蓉(秦可卿の夫)に行かせて賈瑞を待ち伏せし、
捕まえさせるように言いつけ、賈瑞を一度こらしめた。
【セリフ】 賈蓉「なんて大胆な! 二番目のおばさま(叔父の妻)をからかおうなんて」
賈薔「俺らと一緒に奥様のところへ行って、白黒はっきりつけてもらおう
じゃないか」
10. 賈瑞は再び厳寒に耐えて待ち合わせ場所に向かうと、また賈蓉が彼を待ち伏せし、
一度殴打されるという目にも遭った。さらに王煕鳳との相思相愛がとても難しく、
許されないことであることから、病気で寝たきりになった。多量の薬を飲んだのだ
が、無駄なことであった。まもなく賈瑞は息をひきとった。
11. ある日の夜、王煕鳳は秦氏が自分の元へ別れを告げに来る夢を見た。このとき、
消息を知らせに来た人が言った。、
「寧家(寧国府)の賈蓉の奥様(秦可卿)がお亡くなりになりました」
12. 王煕鳳はすぐに寧家(寧国府)へやって来た。寧家一族や多くの親類もみなやって
来た。尤氏は持病がぶり返し、葬儀を取り仕切ることができなかった。
13. 賈珍はただちに王煕鳳に来てもらい、葬儀を取り仕切ってくれるように頼んだ。
王煕鳳は大小さまざまな仕事を割り振りし、それぞれの仕事を整然と進めていった。
14. 秦可卿が出棺されたその日、北静王である水溶が葬儀のためにやって来た。
かれは、賈宝玉が聡明で端正な美男子であるのを見て、即座に良い香りのする
数珠を贈った。
15. 殯(もがり)が完全に終わり、王煕鳳は饅頭庵に入居した。ある夜、年老いた尼、
浄虚が王煕鳳に言った。
「長安府の大だんなさまの、妻の弟の李だんなが、資産家の張家の娘である
金哥を見初めたので、金哥を趙家の令息の許嫁にするのをやめさせるべきだ。
奥さま(鳳姐=王煕鳳)に、趙家と婚約解消させる方法を考えていただきたいのです」
【セリフ】 老尼「私は、奥さま(王煕鳳)が必ずや趙家に婚約解消をすすめるような
手段をご存じだと思っています」
16. 王煕鳳と張家は三千両もの銀を長安府に要求し、[婚約解消を張家に]一方的に
通達したので、老尼の浄虚は一も二もなく承諾し、表舞台から引っ込んだ。
【セリフ】 王煕鳳「張家に三千両の銀をすぐに出させ、すぐに相手の家へ持って
行くようにすすめなさい」
17. 金哥の情が重く、気性が激しいことを誰も知らなかった。婚約解消の後、金哥は
首をつって自殺し、趙家の令息もまた河に身を投げて死んだ。
絵本版『紅楼夢』の翻訳シリーズは以下でご覧いただけます。
『紅楼夢』翻訳
オリエンテーション 『紅楼夢』翻訳
第1章 『紅楼夢』翻訳
第2章 『紅楼夢』翻訳
第3章 『紅楼夢』翻訳
第4章 『紅楼夢』翻訳
第5章
- 2009/06/14(日) 00:42:41|
- 小説|
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