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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

『紅楼夢』第7章

第7章 参禅の詩
p.42-47:岡垣訳

1. この日の夕方、賈宝玉の身のまわりの世話をする付人、襲人は、家での年越し
   茶会からもどってきた。襲人は、賈宝玉がどれだけ自分に対して情を持っている
   のか探るため、賈宝玉に言った。
     「私の母と兄が、私を買い戻そうとしているんです。」
   賈宝玉は、慌てて強く引き止めた。

2. 襲人は言った。
     「私は、行かなくてもかまわないわ、あなたが私の三つの条件を承知
      して下さるなら。」
   襲人は一つ一つ述べ、宝玉は立て続けに承知した。
   【セリフ】
     襲 人:「一つ、今後勉強したくないとだだをこねるのは許しません。
          二つ、僧侶や道士を中傷するのも許しません。
          三つ、頬紅や口紅で遊ぶのはやめてください。」

3. ある日、賈政(賈宝玉の父)と側室の趙おばさんの子、賈環、そして
   薛宝釵たちは碁を打って賭け事をしていた。賈環は、賭けに負けた後
   だだをこね、鶯児に説教されて、大声で泣いていた。
    【セリフ】
     賈 環:「おまえたちは、母が妾だからって私をいじめるんだね。」

4. 宝玉が部屋に入ってきたその時、賈環が泣いているのがわかり、
   言った。
    「正月に泣いてどうしたんだ? ここが気に入らないなら別の場所に
     いって遊べよ。長いあいだ泣いたからといって何になるんだ? 
     自分から悩みをもたらすだけだろ!?」
   賈環は、すぐに部屋を飛び出し、趙おばさん(賈環の生母)に悔しさを訴えた。
    【セリフ】
      宝 玉:「賈環、おまえは毎日の勉強漬けで頭がおかしくなったのかい?」

5. 趙おばさんは賈環の愚痴を聞いたあと、賈環をひどく叱った。ちょうどその
   一部始終を鳳姐(王熙鳳)に聞かれ、鳳姐(王熙鳳)は言った。
    「賈環くんはまだ子供なのに、あなたの教育は過剰ですわよ。」
   【セリフ】
    趙おばさん:「下品で面子の立たない子ね、そこらじゅうで遊んでは駄目でしょ。
            よりによって、あんなところに遊びに行くなんて。」

6. この日、賈母の実家の孫娘である史湘雲がやってきた。史湘雲は林黛玉を
   みつけて一緒に遊び、賈宝玉もそこにいることがわかると、賈宝玉に不平不満
   を言った。
   【セリフ】
    史湘雲:「宝玉お兄さま、どうしてあなたは私をかまってくれないの?」

7. 林黛玉は史湘雲を舌足らずだとからかい、史湘雲は言った。
     「林お姉さまが舌足らずの旦那さまをもらえばいいでしょ。」
   二人は笑いながらふざけ始めた。

8. その夜、林黛玉は史湘雲と一緒に眠った。
   翌日、賈宝玉は早朝すぐに部屋にやってきて、自分(賈宝玉)の髪を結うように
   史湘雲に頼んだ。

9. 史湘雲はやむなく頼みを聞き入れた。
   突然、史湘雲は賈宝玉が少しばかりの口紅をつまみ口に運ぶのを目にし、
   とたんに賈宝玉の手を掌でたたいた。

10. 薛宝釵の誕生日に来た。賈母は人柄がよく心が広い薛宝釵を愛し、
    賈母自ら出資して酒席を設け、京劇の一座を招き演じさせた。


11. 多くの人がぐるりと円卓を囲んですわり、一緒に京劇を見た。賈母は
    薛宝釵にまず劇の題目を選ばせようとしたのだが、薛宝釵は辞退する
    にもできず、賈母がにぎやかな京劇が好きだということを推し計らい、
    『魯智深酔閙五台山』を所望した。
    【セリフ】
      王熙鳳:「おばさま、この京劇はいかがですか?」
 
12. 観劇がお開きになったあと、賈母は娘役に扮していた一人を呼び近寄って
    おしゃべりをした。鳳姐(王熙鳳)は娘役をじろじろ見て言った。
     「この子、誰かさんにそっくりね」

13. 史湘雲はじっと見つめて言った。
     「私が見るに、林お姉さまに似ていると思いますわ。」
    林黛玉は去り際に賈宝玉に目をやると、賈宝玉は史湘雲に目配せ
    したのがわかった。

14. 史湘雲は林黛玉を非難したように賈宝玉が言ったと思い込み、住まいに戻って
    すぐに下女に身辺を整理させ、翌日出発しようと計画した。
    【セリフ】
     史湘雲:「明日の早朝すぐに出発するわよ、人の顔色を見なくてすむから。」

15. このとき、賈宝玉が部屋に入ってきて言った。
     「黛玉は、余計なことを考えすぎてしょっちゅう腹を立てるし、私はあなたが
      黛玉を怒らせるんじゃないかと心配で気が気でないよ。」
    史湘雲はこれを聞かず、手を振って部屋を出て行った。

16. 賈宝玉すぐに林黛玉を探しにいったが、あろうことか林黛玉は、賈宝玉と史湘雲
    の会話を聞いてしまい、かんかんになって、賈宝玉さえも相手にしなかった。
    【セリフ】
     林黛玉:「私は彼女のことに腹を立てているの、あなたとは何のかかわり
           もないでしょ? 彼女が私の機嫌そ損ねたのについても、
           あなたと何のかかわりもないでしょ?」

17. 賈宝玉はが悲しくてやりきれなくなってしまい、部屋にもどって参禅(座禅して
    禅を修めること)の詩を一首書いた。その詩の大意は、自らの感情を割り切って
    悟ったものであった。

18. 賈宝玉が部屋を去ったあと、林黛玉が襲人を訪ねるのを口実にして探り
    を入れにやってきた。林黛玉は、賈宝玉の禅詩を読んで、可笑しくとも
    嘆かわしいとも感じることなく、すぐに薛宝釵と史湘雲を探した。三人は
    賈宝玉の詩が悟りきったものとはいえないと嘲笑い、賈宝玉の参禅の
    考えを切り捨てた。





絵本版『紅楼夢』の翻訳シリーズは以下でご覧いただけます。

  『紅楼夢』翻訳 オリエンテーション
  『紅楼夢』翻訳 第1章
  『紅楼夢』翻訳 第2章
  『紅楼夢』翻訳 第3章
  『紅楼夢』翻訳 第4章
  『紅楼夢』翻訳 第5章 
  『紅楼夢』翻訳 第6章
  『紅楼夢』翻訳 第7章
  『紅楼夢』翻訳 第8章

  1. 2009/07/17(金) 00:13:38|
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