壁土のリサイクル 7月16日(金)。各地で梅雨明けが宣言されていますが、鳥取は雨雲が今も空を覆う日があります。
9日(木)に池田住建社長、市担当官との現地協議、さらに18日(日)に1期生OBとのプレ・ワークショップをおこない、加藤家住宅修復関する多くの課題の解が見え始めてきました。みなさん、ありがとうございました。16日は1・2年生のプロ研発表練習をおこなう一方で、4年生と院生は8月下旬に予定している第1回公開ワークショップ(左官工程)に向けて、壁土の土練りをスタートさせました。場所は加藤家の庭(駐車スペースに近い北側)の一画です。

わたしと黒帯くんは先発で加藤家へ出向きナオキさんと合流。加藤家駐車スペース奥にブルーシートを敷いて準備完了。しばらくすると、ピヴォさんが倉吉の左官業者さんを誘導して加藤家にあらわれました。リアダンプカーの荷台には土と藁を混ぜ終えた大量の壁土が積まれていました。ブルーシートの上に壁土を降ろすと、壁土は田植え中の土ぐらい柔らかく、微かに異臭がしました。藁が入っているため発酵し始めているのでしょう。
まず左官屋さんが言うには、「ドーナツ状に土をひろげ、その中央に水を溜めておく必要がある」とのこと。このして水を溜めておかないと、土が固くなって、練ることが出来なるからという理由でした。左官屋さんは少しばかり指導してくださった後、倉吉に帰られました。
4人でドーナツ状にする作業が終わり水を溜めていると、後発のゼミメンバーがやってきました。次に全員で古い壁土を目の粗い篩(ふるい)にかけ、瓦、石や草などを取り除く作業に移りました。そもそも古い壁土は、2006年度の加藤家修理の前に小舞壁に使われていたものです。それを駐車スペースの近くに積み上げて保存しておいたのです。この壁土の再利用には以下の二つの意義があります。
1.文化財保存における「材料のオーセンティシティ」の継承
2.廃棄物を少なくするための古材料のリサイクル


作業の手順は以下のとおりです。
まず、山盛りになっている古い壁土を鍬やスコップで掘りかえしてブルーシート上の置き、スコップで叩き潰すなどしてある程度、塊をなくしていきます。それを網目9mmの篩いにかけ、塊と粉に分別いきます。篩に残った塊は再びつぶす作業に戻して、また篩にかけます。この作業プロセスは肉体的にとてつもなくシビアで、みんな汗だくになりながら作業にあたっていました。とくに篩を担当していたアシガル君は「ものすごく、くびれに効く」と言っていました。左右にユサユサと腰を振りながら篩を振るため、横腹が熱くなるようでした。途中からこの作業をしていたエアポートさんも「今日で横腹の贅肉がなくなったんじゃない(笑)」なんて言っていました。

分別作業が終わるころ、新しい土の山で作ったドーナツの穴に溜めていた水が半分ばかりなくなっていました。分別作業の間だけで穴の水が滲みだしてしまったのです。再び水を足し、雨に濡れてドーナツ状に積み上げた壁土が、崩れてしまわないようにするためにブルーシートを被せておきました。
明日以降に左官屋さんが持って来られた壁土に古い壁土を混ぜあわせて水を足し、1ヵ月半~2ヶ月養生すれば、晴れて壁塗り土として使うことができるでしょう。まずは公開ワークショップで壁塗りの検討をおこない、その後、学生主体で左官工事を進めていこうと考えています。
それにしても今日のゼミのメンバーはサッカーのときのように輝いてましたね。(黒猫)
- 2009/07/20(月) 00:20:48|
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