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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

公開ワークショップにむけて(Ⅵ)

02襖の墨書001

 7月24日(金)は前期最後の3・4年&院生ゼミでしたが、22日(水)に引き続き加藤家で修復活動をおこないました。「建具調査班」「土台石詰班」「式台修復班」の3班に分かれて、それぞれの活動を進めていきました。

建具調査班の活動
 建具調査班は、襖と鴨居の番付からはじめました。まず襖に番付し、襖の配置場所の鴨居にその配置されている襖と同じ番号をテープで貼り付けていきました。襖については、ほぼべて表装替えを業者に発注しようと考えており、見積もりのための基礎資料を作成しているのです。一つ問題があります。いまから数年前、加藤家に泥棒が入り、一部の襖が盗まれてしまったのです。その襖は表側のナカノマとアイノマの境にはめ込まれていました。盗難後、そこには板戸を通していたのですが、式台から奥座敷に通じるハレの空間の建具としては無粋なので、他の襖を転用することにしました。最初に候補に上がったのはタクオさんが但馬の工務店時代に譲ってくださった古い襖ですが、やはり但馬と因幡では職人の系列が違うのでしょうか、襖の高さが相当異なっていて、敷居-鴨居のあいだに納まりません。その寸法差は「微調整」で済むようなレベルではなく、転用をあきらめました。
 次に候補となったのが、イロリ間と奥の板間の境にはめられていた襖です。イロリまわりはこの2室を1室として使っているので、ここに襖は要りません。そして、寸法もほぼ合うことが分かりました。ただし、イロリ間板間の境の襖には表裏両面に「書」や「画」が貼られていません。あまり華やかではないのです。これについては、以下のように対応することになりました。

  1)但馬の古襖に貼ってある「書」や「画」を切り取って貼り付ける。
  2)在学中「書道部」に属して活躍したナオキさんに「書」「画」を書いてもらい、
   それを襖に貼る。

 学生たちのあいだでは2)が好評でした。環境大学が加藤家住宅を修復したよい記念になるというのです。書道部と言えば、部長を務めたハル先輩(4期生)はまだ鳥取におられるのでしょうか。すでに沖縄に帰ったとの噂も聞こえてきていますが、ハル先輩とナオキさんが「書」「画」を書き、加藤家の座敷まわりの襖を彩るとすれば最高でしょうね。

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土台石詰班の活動
 土台石詰班は、文字通り、建物の土台下に石を詰めこんでいきました。2006年の修理前、土台は地面に接地していました。修理後、その土台の下に石を詰めて地面から浮かせることになり、学生が姫鳥線の工事現場から廃棄された石を搬入し、いったん石を土台下に積めたのですが、ぐすぐすだったので柱下の礎石部分をのぞいてやり直しが決まりました。その後、石工さんにこの仕事をお願いする予定だったのですが、諸般の事情でままならず、今日まで石詰めの作業が遅延してしまったのです。いわば「3年越しの土台下石詰め作業」というわけです。
 作業内容は単純で、土台下に隙間なく美しく石を詰めるのです。しかし、実際の作業はなかなか難しい! その理由は、石の形、大きさがばらばらで、石の種類によっては割れやすいものがあるからです。ピヴォさんやナオキさん、エアポートさんでも手こずる程でした。しかし、やはり職人の集まるASALAB。時間が経つにつれ、ピヴォさん、ナオキさん、エアポートさんはどんどん石を詰めていくようになりました。そしてこの日、もう1人の職人が誕生。その名もアシガル! アシガル君は徐々に石詰が上手くなり、黒帯君に「職人」と言わせる程までに成長していきました。
 主屋の東側はエアポートさんとナオキさんが担当し、北側をピヴォさんとアシガル君、黒帯君、ガードが担当しました。正面にあたる東側の土台下に詰める石は加工された大理石(墓石を板状にしたような石板)、道路からみえにく北側は自然石を使って詰めました。
 ここから勢いになって一気に石詰を行いました。はじめ順調に石を詰めが出来ていたのですが、北側方では蜂が飛び回り作業が遅れるという一幕もありました。特に虫が苦手な私はかなりおびえてしまいました。しかし、蜂にも負けず作業を進めていき北側方面の石詰を完了。ほぼ同時に教授が試験監督を終え加藤家に到着。休憩がてら今後の予定について話し合いました。
 これから9月上旬まで大変なスケジュールでして、部長さんはその調整に眩暈を覚えているようでしたが、なんとか「円仁の風景」ツアーや公開ワークショップの日程がみえてきました。

 第1回公開ワークショップ(左官工程)は、8月27日(木)の開催が第1候補となってきています。


03石詰め001岡垣01




4

 ただ、8月27日だと壁土の養生期間が1ヶ月あまりでやや短いのではないか、という杞憂もあります。そこで池田住研さんに電話でアドバイスしていただいたところ、ブルーシートをとったほうが藁の発酵が速く進むのではとのご意見でした。そこで、とりあえずブルーシートをめくってみたのですが、う~ん、やっぱり臭い・・・相変わらずの異臭でした。結局、数名で話し合った結果、修復活動のある日はブルーシートをめくり、ない日はブルーシートを被せて異臭の拡散を防止しようということになりました。
 壁土養生の検討後、石詰を再開。我われは北側を完了したので、続いて西側方面に石を詰めることにしました。西側の土台下は思いのほか隙間が広く、少し大きめの石を詰めなければならなかったのですが、なかなかサイズ・形状の合うものが見つからずスピードダウン。そしてこの日は、そのまま西側は完成せず、東側もあと少しで完成でしたたが、日が暮れたので作業を中断しました。それでも、以前の状況に比べればはるかによくなったと思います。
 1 7
      石詰前              石詰後

式台修復班の活動
 式台修復班は、ピヴォさんとナオキさんが担当し石詰の間を縫ってやってくださいました。今回は、補強箇所にL字金具を使う準備と木工用パテで木を補強する作業を行いました。この日は、石詰と式台修復を交互にやってもらったので、他の人より大変だったと思います。ありがとうございました。(ガード)

06式台0909金具




  1. 2009/07/26(日) 00:00:47|
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