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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

第2回公開ワークショップにむけて(Ⅰ)

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襖の表装

 9月25日(金)。大学4年の夏休みも終わり、とうとう後期が始まった。思い返せば、今年の夏休みは卒業研究とアルバイトで終わってしまった気がする。というのも、11月に車検を控えていまして…。なぜ、あんなに車検の値段は高いのか、と思う今日この頃です。

 さて、卒業研究も10月21日(水)の中間発表が間近に迫り、その3日前の18日(日)には第2回公開ワークショップ』が開催されるわけで、いずれの準備も加速しなければなりません。まずは襖の表装張替え(の一部)を鳥取市内の表具店に依頼することになり、見積もりのために加藤家住宅までご足労いただいた。表具店のお二人は加藤家住宅を知っておられたが、活動の詳細についてはご存じなかったので、先生が詳しく説明された。
 やはりプロにみていただくとちがうものだ。はまっている建具を見て、ところどころ「おかしい」と示唆されるのである。まず敷居の溝に着目された。襖の場合は溝幅が7分でサネ幅が3分、板戸・障子の場合は溝幅が5分でサネ幅が6分と決まっている。たとえば、仏間・広間境の敷居は後者であり、修理以前にはたしかに板戸が納まっていたのだが、「この部分の襖が盗難にあった」という情報をえていたので、襖に戻そうと考えていた。しかし、溝幅からみて納めるべき建具は板戸であることがあきらかになり、盗難事件後にはめ込まれた板戸を戻すことになった。さいわい新しい板戸も「ケヤキの一枚板」を使った上等なものであり、若干傷みもあるが修理できないことはないので、これを再利用することにしたのである。

P1040935_20090926185824.jpg また、仏間の襖は1間を3分割したものであり、そのうち2枚は奥座敷の押入(内法幅約7尺5寸)にはめ込んでいることが判明した(←)。押入の内法寸法と襖2枚の全長には誤差があり、柱に打物をしてこの誤差を解消している。協議の結果、仏間に本来の襖3枚を戻し、奥座敷の押入の襖2枚は特注で製造していただくことにした。これにより、奥座敷と仏間は当初の建具配置が再現されるだろう。




建具の今後 平面図 


P1040925_20090926185824.jpg 今回の協議で最大の問題となったのは、表装の上に貼りつけられた書・画(←)の「洗い」である。前日の電話見積もりでは、表装張り替えだけだと4000円/枚と伝達されていたのだが、書・画の汚れが予想以上に激しいので薬品で除去し貼り直すと修理の総額は25000円/枚まではねあがるという。ここでピヴォさんが提案した。書・画の汚れを目立たないようなくすんだ表装紙を使ってはどうか、と。たしかにその手はある。そして、「洗い」は断念することにしたが、書・画の裏打ちだけはやりなおしていただくことにした。結果、単価は10000円/枚となった。単価4000円/枚なら十数枚の襖を修理だそうと先生は考えておられたようだが、倍以上に跳ね上がったので、結局、業者さんに修理をお願いするのは、

    1)奥座敷・仏間境の4枚と仏壇を隠す3枚の計7枚

となった。さらに、

    2)奥座敷押入の2枚の襖については特注可能かどうか検討していただく
      
ことになった。原則、書・画は貼らないが、ナオキさんが描いてくださるなら、それを貼ることにする。

 このほかの障子については、ワークショップとその前後に学生(と来場者)が表装張り替えをおこなうことになった。以上の状況から、第2回公開ワークショップの全体像がようやくおぼろげながらみえてきた。今回は、

      A班=専門家・職人による技術講習、
      B班=一般来場者・学生による襖表装張り替え・障子貼り替え

の2班に分かれて動くことになりそうだ。A班はおもに建具の打物と軸部補強に関する検討、B班は左官工程のときと同じく、ボランティアとして襖・障子の修理を担当するのである。B班が修理する襖は框を釘打ちでとめているだけなので、これならば学生や一般来場者でも張り直せるだろう。

 なお、土間・板間側の障子・板戸が若干不足している。これについては、瓦町の「風庵」というレトロショップに大量に在庫があるらしく、安価で入手できるとの情報も得た。さしあたって、来週火曜日の後期初ゼミでは、まず表装張替えの現場を視察するため布施の表具店を訪問し、その後、「風庵」で建具の中古品を物色することになった。百聞は一見にしかず。ワークショップで自ら表装を実践するにあたっては、なによりプロの技をみせていただくに限るのです。
 訪問までに、建具関係のデータを整理しなおし、ビデオ・F4・コンベックスなど調査器材をしっかり準備しておく必要があります。
 また、板戸を使うことになったアイノマ/ヒロマ境の内法寸法・建具寸法を早急に京田辺のオカムさんに送る必要があり、その作業を急がねばなりません。〈黒猫〉
 
追伸
 現在、3年生が後期初の仕事として『第2回公開ワークショップ』のポスターを鋭意制作中です。乞ご期待!

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  1. 2009/09/29(火) 00:00:42|
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