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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

速報! 第2回公開ワークショップ(Ⅰ)

02 煙と光
 

建具の打物と削り

 10月18日(日)。ついに第2回ワークショップを迎えました。2日前に嬉しい知らせが届いてましてね。明石高専のY先生が学生4名を連れてくるというのです。YさんはK都帝国大学院時代の仲間で、じつはこの春、ダウラで竪穴住居復元の打ち合わせをしたんだけど、それがいったいいつ以来の再会なのかよく分からないほど、ご無沙汰の状態でした。その数日前にはチャックが戻ってくるという報せも入ってました。チャックはASALABのOBですが、明石高専は他県の高等教育機関であり、ワークショップを介して環境大学との交流ができることは望外の喜び。いや、まずもって感謝の気持ちを表します。

 話は前日に遡ります。学生たちは16日(金)から17日にかけて会場設営とワークショップ当日の昼食とする芋煮の材料買い出しを始めてました。17日、わたしはあろうことか、大学時代のサッカーチームの同窓会に参加するため遠出してしまったのです。9月16日の記事に、同窓会サッカーには出場できないと書いたのですが、あれから必死で日程を調整し、入試当番を代わってもらって、旧姫路工大の人工芝グラウンドまで駆けつけたのでした。これについては、また別に記事を書く予定なので割愛。

01 打物の確認
 
 鳥取に戻ったのは夕方5時半ころ。まずはチャック登場。二人でアパホテルまで主賓のお迎えに行った。文化庁のN調査官と文建協のY主任技師をお連れして「飛鳥」へ。そこに、まずタクオが合流し、さらにSさん、Mさん、Oさん、Nさん・・・が続々集結。カウンターではじまったミニ懇親会はいつのまにか2階のお座敷に移動しないと納まらなくなっちゃいました。2次会は鮎殿の茶屋であります。
 もちろん飲んでただけじゃありませんよ。ワークショップの趣旨を文化庁・文建協のお二人にしっかり説明し、打物を柱ではなく建具框に打つこと、上下框を削ることの了解を得ました。また、最大の課題である軸部の構造補強についても、調査の成果や補強の経過を説明しておきました。
 そうそう、オカムとヤンマーは別行動でして、またしても弥生町で羽根をのばしていたらしいのですが、「弥生町桃色同窓会」の記事に懲りたようで、なんにもゲロしませんでしたよ、今回は。

 翌朝は9時集合、10時開会。まずは第2回ワークショップの趣旨説明から。2006年の修理で柱をジャッキアップし、柱を矯正したり、床面を水平にしたりした結果、敷居-鴨居間の寸法がのびたり縮んだり、柱と建具の接触部分にも細長い三角形の隙間ができたので、これをなんとか柱間にぴったり納めるようにしたいという目的を述べ、さっそくオカムが京田辺で制作してきた打物を披露しました。以上の建具の微妙な調整については、とても素人ではできないので、職人さんに任せ、一般来場者は見学のみ。打物はASALAB1期生のオカム(数寄屋大工)&ヤンマー(建具師)、板戸・障子の上下框の削りは池田住研の若い大工さん2名が担当するという役割分担で進めたのです。ちなみに打物と框の接着はボンドや釘を一切使わず、両面テープだけの仕上げにしたようです。

005打物02


002池田01板戸削02電動鋸01
  
 仕事がはじまると若い職人さんたちの動きはじつに俊敏で、手際よく、いい顔してます。みるみる仕事が進んでいく。しばらくすると、打物はオカム一人で受けもち、ヤンマーはガラス戸の修理を始めました。施主さんは古いガラス戸の曇りガラスを愛好されているのですが、割れが激しくガムテープでとめているものもあれば、ガラスの代わりにビニールを貼っているところもあり、それを中古のガラス板(新品同様!)に換えていったのです。ガラス切りの道具も凄いでよね。定規に沿って線を引くだけでガラスがカットされていく。オカムはヤンマーの手さばきをみて、自分もその道具を買うのだと宣言してました。
 打物については、ほぼ予定の作業を終えたのですが、割れガラスの差し替えは未了。大きなガラスは換えようにも換えられないのです。あとでオカムが教えてくれたところによりますと、最近は乳白色のアクリル板で曇りガラスの代用とするところも少なくないそうです。ガラスだと学生は手に負えないが、アクリル板なら学生のセルフビルドで修復ができるとのアドバイスに感心しきり。とりあえず魯班の技術員に挑戦してもらいましょうかね。
 005打物03縦01 12 建具の納まり
 
 池田住研の「削り」も順調に進んでいきました。板戸のほうは下框にキャリアがついていたのですが、これは取ってしまいました。午後3時ころまでに、クチノマを囲む4枚板戸と4枚障子の調整が終わり、みごと鴨居・敷居間に納まりました。

 最大の課題とされた軸組の構造補強については、土間側につくった「コア」に類する仕掛けを評価していただいたんですが、座敷まわりにそれを作るのはあまりに無粋であり、裏のナンド側に構造用合板を用いて壁構造の「コア」を作るというアイデアがY主任技師より提案されました。いや、流石ですね。建物の4隅すべてに「コア」を作らなくても、3つのコーナーで十分という発想です。たしかに、これで軸部の回転(反時計まわり)を食い止めるとはできるでしょう(もとの垂直が回復できるわけではありません)。ただ、ナンドの空間構成が大きく変わるので、まずは管理人さんの許可を得る必要があり、そこからクリアしないといけません。(続)

006ガラス01

006ガラス02背面

  1. 2009/10/21(水) 00:14:46|
  2. 建築|
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