第13章 劉ばあさんの口から出任せp.78-81:岡垣訳
1.平児が庭から戻ってくると、劉ばあさんが板児を連れてまた来ていて、おまけに
新鮮な野菜や果物をいくつか持ってきているのが見えた。周瑞の妻(王夫人の
侍女)が劉ばあさんとおしゃべりしている。劉ばあさんは平児が入ってきた
のがわかると、あわてて床に飛び降りてご機嫌をうかがった。
2.しばらく話をした後、劉ばあさんは挨拶してその場を立ち去ろうとした。
この時、鳳姐(王熙鳳)はちょうど賈母のところにいて、周瑞の妻は劉ばあさんを
接待しつつ、賈母と鳳姐のところにいって一声かけた。
【セリフ】
劉ばあさん:「遅くなりましたし、私たちも帰りましょう。」
3.しばらくして、周瑞の妻は戻ってきて言った。
「おばあさん、あなたは実に幸せですね。老婦同士の縁で、賈母様はあなたに
来てもらいお話がしたいそうですよ。」
4.劉ばあさんと板児は賈母の部屋にやってきた。宝玉と姉妹たちが賈母を取り
囲み、すぐそばでおしゃべりをしている。劉ばあさんは家中の花枝がゆらぐ
ほどの美人をみて、思わず目がくらんだ。榻(長椅子)の上に一人の老女が横
たわりながら、下女がかたわらで、彼女の足をたたいていた。
5.劉ばあさんはその老女が賈母であることがわかると、あわてて前に進み出て、
愛想笑いをして言った。
「長寿の奥様、ご機嫌いかがですか。」
賈母は、腰をうかせて挨拶し、人を呼んで劉ばあさんに茶を出し、席を譲らせ
て言った。
「今日は親戚の対面をしたわけですし、お嫌でなければ、ここに2~3日泊まり
なさいよ。」
6.鳳姐も言った。
「おばあさん、2~3泊していってくださいよ。あなたたちのところの最近の
話題を賈母様に聞かせてちょうだい。」
7.劉ばあさんは、やむなく留まるしかなかった。夕食の後、賈母の下女の鴛鴦は
清潔な衣服を選び、劉ばあさんを着替えさせた。
【セリフ】
鴛鴦:「これは私の服よ、おばあさん、あなたはまず着替えてちょうだい。」
8.その後、劉ばあさんは賈母の部屋にやってきてた。彼女はいくつか村のおもしろい
エピソードをみつくろって、巧みに話し始めた。
9.多くの人は、このいくつかの出来事をいたるところで聞いたことがあるのだけれども、
劉ばあさんはそれを脚色して、根拠のない話を誇張して話したので、
、みな耳をそばだてて聞いた。
10.劉ばあさんが口から出任せをしゃべりまくっていたなんて、誰が知ろうか、宝玉
すら本当だと信じ込んでいた。みなが解散した後、宝玉は劉ばあさんを引きとめ、
劉ばあさんにさらに話をさせた。
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- 2009/12/07(月) 00:05:07|
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