四万十川の清流 というわけで、今年も大晦日を迎えました。わたしの誕生日でございます。山羊座のO型、大晦日生まれのわたしは、いま四国を放浪中。なんて、真っ赤な嘘でして、3日前に旅から帰り、奈良で新年を迎えようとしております。
自分でもおかしな男だと思いますね。鳥取という日本を代表する田舎で日々生活しながら、旅にでてもまた田舎めぐり。ヨーロッパを旅しても、東南アジアを旅しても、中国を旅しても、日本国内を旅しても、いつだってわたしの神経は辺境に向いている。今回のターゲットは1年前に重要文化的景観に選定されたばかりの四万十川。以下に示す5つのエリアが同時に選定されたことで注目を集めました。
A.四万十川流域の文化的景観・源流域の山村(高岡郡津野町)
B.四万十川流域の文化的景観・上流域の山村と棚田(高岡郡檮原町)
C.四万十川流域の文化的景観・上流域の農山村と流通・往来(高岡郡中土佐町)
D.四万十川流域の文化的景観・中流域の農山村と流通・往来(高岡郡四万十町)
E.四万十川流域の文化的景観・下流域の生業と流通・往来(高知県四万十市)

12月に入ってから情報を集め、さてどういうアプローチで四万十川を攻めようかと結構悩んだのですが、高知からではなく、松山から宇和島を経由するのが最適であると判断しました。宇和島については、昨年、部長・ヒラ・リラックマの女子大生トリオが重要文化的景観「遊子水荷浦(ゆすみずがうら)の
段畑」と重要伝統的建造物群保存地区「
内子町八日市護国」を視察してレポートを書いてくれましたが、 2009年12月8日に西予市の「宇和町卯之町」が重要伝統的建造物群保存地区に選定され、ぜひみてみたいと思うに至ったのです(こちらは新年にレポートします)。そして、愛媛の宇和島から高知の四万十までそう遠くないことが分かり、「ホテル星羅四万十」という絶好の宿泊地を発見。四万十市西土佐のホテルは重要文化的景観E地区の流域にあって四万十川に隣接し、テナガエビやアオサのり、アマゴなど川の味覚をふんだんに味わえます。
レストランで朝食をとっているころ、窓外には靄のスクリーン。一面の視界が閉ざされ、四万十川はまったくみえません。少し憂鬱になって「いつもこうなんですか?」とウェイトレスさんに訊ねたところ、「晴れる日の朝はいつもこうなんです」とのお返事。期待に胸はふくらみましたね。果たして、レンタカーでのドライビングを始めるころから、ゆるりゆるりと靄が晴れていきました。その靄が晴れ間といれかわる境界の時間に幽玄な風景があらわれます。靄がうごめいてたなびく雲に変り、晴れ間の陽光が「日本最後の清流」に反射する。

四万十川は噂に違わぬ清流でした。鍾乳洞のような川底がかなり高い位置にある車道から透けてみえます。溶岩だらけの川原に足を運んで水面をみると透明そのもの。手ふきのためのタオルを水に浸し、車のなかに置くだけで清涼感があり、宝物を仕入れたような気分になりました。午前中にみた下流域から中流域の景観はほんとうに素晴らしかった。中下流域でこうなのだから、上流域や源流域に遡上すればどれほどの風景が展開するのだろうかと、さらに期待に胸をふくらませて車を走らせたのですが、じつはそれほど感動しませんでした。上流域や源流域の景観についてコメントするならば、「これなら板井原と変わらないな、佐治の山村と似たようなものだ」というのが正直な感想です。杉の植林が多すぎて山の景観に変化が乏しいのと古民家が壊滅的に少ない点がとくに気になりました。茅葺民家は愛媛側では点在していましたが、高知側では1棟も観察できないままで、この点に関しては鳥取の山村のほうがはるかに景観資源の質が高いと言えるでしょう。ただ、檮原(ゆすはら)の「千枚田」は見事でしたね。見事ではありましたが、「ここもまた
棚田か、棚田があれば重要文化的景観なのか」という印象はぬぐえませんでしたね。

だから、文化的に価値がないとは決して言いません。むしろ、その逆でして、四万十川の上流域や源流域が重要文化的景観としての価値をもつのだから、智頭の板井原や若桜の茗荷谷や佐治の津野だって重要文化的景観になってもなんらおかしくない。これは北海道の「
沙流川(さるがわ)流域の文化的景観」や岩手の「
一関本寺の農村景観」に接したときとほぼ同じ感想です。問題は行政と住民の意識なのですよ。景観を保護しようという意識があるかないか。土地利用や景観の意義についてはなんとでも説明できます。
30日、思わぬバースデー・プレゼントがサロマ湖畔の町から届きました。「
サロマ湖の牡蠣」ではありません。今回は毛蟹2匹とホタテ10枚。長女も東京から帰ってきていて、家族一同驚喜し、海産物尽くしのバースデー・イブを楽しみました。毛蟹は紹興酒の酒蒸し。蟹はもちろん美味しかったけど、雑炊が絶品でしたね。生ホタテは貝殻のまま網焼きにしてエリンギと白ネギを添えながら酒と醤油でぐつぐつ煮込み、バターを溶かし込む。皿にとってから柚を絞って口にいれると、まぁ、とんでもない味がしました。まるでステーキのような肉厚のあるホタテに全員驚愕。次女は「生まれてこの方食べたもののなかで3本の指に入る」と絶賛しておりました。
武田さんに感謝! ビールを頂戴したタクオと宮本にも感謝!! ・・・そうそう、ついでに、お菓子を贈ってくれたホカノにも感謝!
- 2009/12/31(木) 04:14:59|
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