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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

鳥取城三ノ丸高等学校プロジェクト(Ⅵ)

「学校全体を史跡公園に」報道

 『季刊邪馬台国』なる雑誌が大学に届いた。104号の22ページに附箋が貼ってあり、そこに挨拶文もはさまっていた。21~22頁に朝日新聞(東京)1面の記事が転載されている。纒向遺跡で大型建物が発見されたことを報じる昨年11月11日(水)の記事を書き写しているのだが、わたしたちの復元CGまで掲載しているのである。そう言えば、たしか12月に転載依頼の電話があり、きちんとクレジットをつけることを条件に許可した覚えがある。
 こういう雑誌ならば掲載をお断りすべきでしたね。『季刊邪馬台国』104号では「卑弥呼の墓・宮殿を、捏造するな!-おかしいぞ、マスコミ便乗考古学者- 日本古代史を、勝手に作って行くな!」という特集が組まれている。べつにこういう特集を組むのはわるいことではない。しかし、それならば、編集部は中立の立場を貫き、畿内派・九州派の論客を公平に配してバランスをとるべきであろうに、編集長以下、九州派の論客ばかり名を連ね、いっせいに纒向攻撃をしかけている。こういう内容だということを予め知らせずに、ただ掲載を求めるという手続きに対して、わたしは不快感を抱いている。少なくとも、目次を添付した掲載依頼書を正式に送付すべきではないか。内容を曖昧にしたまま電話だけで転載を依頼され、「あれっ」とは思ったが、「朝日新聞側が同意した」という説明をされたので、「それなら」と気楽に許可したことをいまは後悔している。

 わたしは、べつに邪馬台国がどこにあったって構わない。わたしたちは、纒向遺跡で出土した大型建物群を青谷上寺地の部材で復元しただけのことである。われわれの関心は「建築考古学」にあるのであって、「邪馬台国の位置」にあるのではない。講演の題目として、推定「卑弥呼の館」という表現をいちど使ったことはあるけれども、「推定」抜きで報道した新聞記事に対してはブログ上で異議申し立てをしている。われわれにとってこの復元研究はあくまで推定「卑弥呼の館」を対象としているのであって、「卑弥呼の館」を対象としていない。
 それにしても感情的な特集ではないか。文面のあちこちに正義をふりかざしているが、文章から冷静さが失われている。これを自戒としなければならない。いま編集している出雲大社の大著にしても、わたしの意見と真っ向から対立する論考が含まれている。論理には論理で対抗するしかない。

 正義をふりかざすと感情的になる・・・同じことが鳥取城跡にも言えるのではないでしょうかね。第3者からの情報によると、タウン・ミーティングは却って両派の亀裂を深めただけだとか。わたしがブログ上からデリートした「地上げ屋」とか、「ヤクザと変わらない」とかいう感想も聞こえてきたそうです・・・一方、ああいう席に高校生を坐らせた学校側の気が知れない、という意見も耳にしています。
 さて、アシガルの卒業設計が新聞記事になりました。県教委が県立高校の現状変更申請を8月まで延長することを決めたという記事とペアになっていて、表面上、じつにタイムリーですね。申請を延長するということは、計画変更を含めてすべてが「保留」という前提に立ち戻ったかと思えばそうではなくて、教育環境課は「計画を変更する予定はない」と語気を強めている模様。籾蔵跡地にRC杭のための深掘りトレンチを穿つのはこの強硬方針に従った行為であり、然らば、なんのためのタウン・ミーティングで、なんのための申請延長なのであろうか。
 アシガルがコメントしているように、わたしたちの「鳥取城三ノ丸高等学校プロジェクト-史跡と共存する校舎の設計-」は、たまたま結果としてこの時期に発表することになり、まるで両派の折衷案のようにみえるけれども、両派の対立が表面化する半年前からスタートしている。わたしたちは移転派にも4階建校舎再建派にも与しない。両派とも、自分たちの主張を冷静に見つめ直してほしいと願っている。

読売20100213221736ce5


  1. 2010/02/16(火) 00:00:17|
  2. 史跡|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:4
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コメント

賛意

初めまして。私も鳥取西高の改築問題について関心があり、いろいろネットで情報を探していたところ、先生のブログを偶然発見いたしました。実は、先日、僭越ながら県文化財保護審議会に対し、意見書を提出させていただきました。貴研究室とは全く独立に、私の意見を述べたものだったのですが、偶然にも貴研究室の研究内容と類似している点が多いことに心強く思いました。貴研究室の研究内容に賛意を表します。
  1. 2010/02/16(火) 23:26:50 |
  2. URL |
  3. Fuji #-
  4. [ 編集]

Fuji さんへ

コメント、ありがとうございます。少し力がわいてきました。
わたしたちの提案と似ているというその「意見書」は公開されていないのでしょうか?
ぜひ拝読いたしたくお願いいたします。
  1. 2010/02/16(火) 23:46:38 |
  2. URL |
  3. asax #90N4AH2A
  4. [ 編集]

意見書

先生宛にメールを出させていただき、意見書を添付させていただきました。
私の方からも、ぜひとも先生に読んでいただきたいと思います。
  1. 2010/02/17(水) 00:35:40 |
  2. URL |
  3. Fuji #-
  4. [ 編集]

Fujiさんへ(2)

 コメントに加え、メールまで頂戴いたしまして、まことにありがとうございます。いま、ある研究申請書を書いておりまして、時間が足りないのですが、意見書にはざっと目を通させていただきました。
 Fujiさんの主張の場合、「重要文化的景観」に触れられていますが、やはり「史跡」という点から攻めるほうがよいだろう、と思います。史跡とは「場所の歴史性」の価値を問うものでありまして、県立高校と仁風閣は、鳥取城跡(久松山)における近代史の重要な証拠です。その点、鳥取城跡(久松山)のオーセンティシティを構成する重要な要素であり、これを史跡から除去してしまうことは、歴史の蓄積をデリートし、当初の遺構だけに文化財価値を認めることになります。わたしはこれに反対しているのです。
 ただ、現状の県立高校と4階建の新校舎設計案は、そのデザインが鳥取城跡(久松山)の景観的価値を減じているので、遺構を保護し表現しながら、景観的価値を向上させるよう努力すべきだというのがわたしたちの考えかたです。
 以上、たいへん拙速なコメントで申し訳ありません。研究室のメンバーにFujiさんの意見書を転送し、みなで議論した上で、またブログにとりあげさせていただくことになるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。取り急ぎお返事まで。
  1. 2010/02/17(水) 01:08:42 |
  2. URL |
  3. asax #90N4AH2A
  4. [ 編集]

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