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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

H22年度「出前授業・遠隔授業」のメニュー更新!

 高校向けの「出前授業・遠隔授業」のメニューを更新したので、お知らせしておきます。昨年、一昨年と不出来でしたが、今年は必ず高校生向けにパワポのバージョンを作成しなおして臨みますので、よろしくお願いいたします。高校以外の一般的な講演にも出向きますので、気楽に声をかけてください。もちろん講師は浅川です。

 まずは、演題と対応科目の一覧をお示ししましょう。

   1.天空の神殿 
      -出雲大社の起源と変容-
     【関連する高校教科】 日本史、建築
    
   2.弥生時代の住まいと建築
      -青谷上寺地遺跡の衝撃-
     【関連する高校教科】 日本史、建築
    
   3.大陽の宮殿 
      -推定「卑弥呼の館」をめぐって-
     【関連する高校教科】 日本史、世界史、建築

   4.ローコストによる古民家修復プロジェクト 
      -登録文化財「加藤家住宅」のあゆみ 2006~2009-
     【関連する高校教科】 日本史、建築、美術

   5.わたしの世界遺産構想
      -大山・隠岐・三徳山-
     【関連する高校教科】 日本史、世界史、地理、建築、美術、生物、地学

   6.船に住む人びと
      -東方アジアの水上居住と文化的景観-
     【関連する高校教科】 地理、世界史、建築、造園・景観

   7.鳥取城三ノ丸高等学校プロジェクト
      -史跡と共存する校舎の設計-
     【関連する高校教科】 日本史、建築、造園・景観    


 各演題の概要は「続き」に掲載しておきますので、ご参照ください。なお、出前講義・遠隔講義の依頼は本学企画広報課にご連絡ください。


1.天空の神殿 -出雲大社の起源と変容-
 出雲大社境内遺跡で鎌倉時代初期の超大型本殿跡がみつかったのが平成12年。その後も続々と新しい考古学的な成果がもたらされました。そこで、この十年をふりかえりながら、出雲大社大型本殿の復元と起源について、建築考古学の立場から独自の視点を示そうと思います。とりわけ、「倉庫」系建築が「神殿」化するにあたって、どのように「宮殿」(皇族・貴族住宅)の要素をとりこんでいったのかが、神社本殿の成立を理解する鍵になります。     

2.弥生時代の住まいと建築 -青谷上寺地遺跡の衝撃-
 弥生時代の建築は、これまで想像復元の域をでないものでした。日本各地の遺跡
で出土した弥生時代の建築部材をパッチワークのようにつなぎあわせ、土器や銅鐸の素朴な絵画を参考にするのが精一杯だったのですが、鳥取市の青谷上寺地遺跡で7000点の建築部材が出土し、復元研究が一気に「実証的」なレベルに駆け上がったのです。青谷上寺地の部材だけで何種類もの弥生建築が復元可能であり、弥生建築の「文法」までもがあきらかになりつつあります。その最新の成果をお知らせします。

3.大陽の宮殿 -推定「卑弥呼の館」をめぐって-
 2009年に奈良県桜井市の纏向遺跡で3世紀前半の大型建物群がみつかりました。纏向遺跡に隣接する箸墓古墳は「卑弥呼の墓」として有力視されてきた最初期の前方後円墳であり、大型建物群は「卑弥呼の館」である可能性が指摘されています。後の内裏の空間構成や紫宸殿(内裏正殿)との系譜を見据えながら、外観は家形埴輪、構造は青谷上寺地出土建築部材によって大型建物群を復元しました。その方法と成果を披露します。
    
4.ローコストによる古民家修復プロジェクト -登録文化財「加藤家住宅」のあゆみ 2006~2009-
 鳥取県東部では実に430棟の茅葺き民家がいまなお姿をとどめていますが、過疎化・高齢化のなかで空き家が約3分の1に及ぶことがあきらかになっています。このまま放置しておけば、民家は消滅の一途を歩むでしょう。このような状況を打開するために、わたしたちはローコスト(安価)な古民家修復を実践してきました。鳥取市倭文に所在する鳥取藩御殿医旧居「加藤家住宅」(登録有形文化財)では、学生が主体的に調査・設計・施工に携わる「セルフビルド&ゼロエミッション」の方法を持続させながら4年間に及ぶ修復工事を完成させました。その歩みを報告します。

5.わたしの世界遺産構想 -大山・隠岐・三徳山-
 鳥取県は「三徳山」に焦点を絞って世界文化遺産の暫定リスト入りをめざしてきましたが、2006~07年度における文化庁の評価は最低レベルの「カテゴリーⅡ」でした。現状のままでは暫定リスト入りは絶望的との診断書を突きつけられたのです。そこで、山陰の密教諸山にひろく目をむけ、山頂に近い「奥の院」に残る岩窟/絶壁型仏堂の類型と起源をさぐると、驚くべき事実が次々とあきらかになってきました。三徳山に大山隠岐国立公園を加えた地域を最重点調査研究地区とし、その自然と最初期の密教系文化遺産に主題を設定しなおして、世界遺産への取り組みを仕切りなおすべきでしょう。     

6.船に住む人びと -東方アジアの水上居住と文化的景観-
 日本におけるアマ(海女・海士)のセンターは福岡県鐘崎のあたりにあって、そこから山陰や能登半島にまで居地を変えながら貝草類の捕採を続けてきました。アマたちの住まいは「船」です。これを家船(えぶね)と呼びます。このような船・筏の類を居住施設とする人たちは東方アジアの海岸域・大河川流域にひろい分布をもっています。日本や中国ではほぼ絶滅した船住まいの伝統は、東南アジアでは恐るべき活力をもって持続しており、毎年夏休みになると、足を運んで調査し続けてきました。ベトナムの世界自然遺産ハロン湾の水上集落に係わる「文化的景観」の問題を中心に講演します。
    
7.鳥取城三ノ丸高等学校プロジェクト-史跡と共存する校舎の設計-
 国史跡「鳥取城跡」の三ノ丸跡地に県立高校が建っていて、校舎の改築・移転が社会問題になっています。地下遺構が濃密に存在することがあきらかな「三ノ丸」遺跡の上に4階建の校舎を建てようとする高校側と地下遺構の保護と史跡整備を求める文化財保護審議会の対立は世論をも巻き込んで深刻化する一方、浅川研究室は、このような騒動が報道される以前から、「三ノ丸」遺跡を敷地として想定した「史跡と共存する校舎の設計」を進めてきました。史跡整備や遺跡博物館の手法を駆使することによって、高等学校の校舎は史跡公園に生まれ変わります。画期的な文化財活用の一つのあり方として高校キャンパス計画を提案します。

  1. 2010/03/10(水) 00:00:16|
  2. 講演・研究会|
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