
4月3日(土)。快晴。風はやや冷たいが、宍道湖沿いのドライブは快適そのもの。一路出雲をめざしました。何度走っても宍道湖と出雲の景観は飽きませんね。午前11時すぎに島根県立古代出雲歴史博物館に到着。暖かい歓迎をうけました。
「
出雲大社境内遺跡出土品重要文化財答申記念・発見10周年記念講演会」の題目と構成は以下のとおりです。
出雲大社の建築考古学 -掘立柱建物からみた神社本殿 1.纒向遺跡大型建物群の復元
-青谷上寺地の建築部材による応用研究-
2.出雲大社境内遺跡大型本殿の復元
3.神社本殿の原型と修辞
4.「天之御舎」と「天皇之御舎」をめぐって
今回は「卑弥呼の館」とも推定されている纒向遺跡大型建物群、すなわち最高位の豪族居館と出雲大社巨大本殿の復元を並列させながら、両者の関係性をさぐるという大胆な試みに敢えて挑戦しました。これは出雲大社本殿、あるいは大社造本殿が2間×2間(9本柱)の高床倉庫を母胎として大型化・格式化したものであるという解釈への批判に対するわたしなりの解答でもありました。倉庫起源説に対して、一部の研究者はそれを否定し、「豪族居館」や「家形埴輪」との比較のほうがはるかに生産的だと述べています。わたしにしてみれば、「気楽なことをいうものだ」と、そういう意見をやや冷淡に受けとめていましたが、纒向の復元研究に伴い、「豪族居館」「家形埴輪」に関わる研究を深めることができましたので、今回、敢えてこのような内容の講演をおこなったのです。
その内容についてここで詳述する余裕はありませんが、まもなく出版する『出雲大社の建築考古学-山陰地方の掘立柱建物-』の結論をご参照いただければ幸いです。

今回も会場は満席。講演会はわたしたち研究者にとってのライブです。大勢の聴衆に囲まれることは学者冥利に尽きることでして、これからもいっそう腕を磨いていきたいと思っております。
なんとか新年度の初仕事を終え、安堵し、久しぶりの出雲を満喫できて本当に良かった。お招きをいただいた出雲博のスタッフほか、ご来場の皆様に深く感謝申し上げます。ありがとうございました!

- 2010/04/05(月) 23:39:37|
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