竹内まりやの歌は学生時代から聴いていて、「不思議なピーチパイ」や「セプテンバー」が大好きだった。あか抜けした詞とメロディがお気に入りだったのは言うまでもないが、歯切れのよいベース・ラインに驚嘆し、いったい誰が弾いているのだろうと疑問に思うまま今に至る。細野晴臣でしょうね。ほかに、あんな心地よいベースを弾ける日本人がいるとは思えません。
中国留学には、ダビングした『ポートレイト』のカセットテープをもっていった。センチメンタル・シティロマンスをバックに従えた「ナタリー」がいちばん好きな曲。フラットマンドリンを効かせた緩いカントリーロック調の曲で、ウェストコーストの香りがぷんぷんする。
何年か前、彼女の持ち歌全体でいちばん好きな曲は何なのだろうと考えたことがある。
-「象牙海岸」かな。残念ながら、まりやさん自身の曲ではない。作詞:松本隆、作曲:林哲司。出だしの数行だけ引用させていただく。
海岸線沿いに夏雲が雪崩ると
砂の蜃気楼に立ちすくむ影ひとつ
人影もない入江
そこが二人の秘密の場所で
象牙海岸と名前までつけた
遠い夏
木曜日の午後、学生たちと山陰海岸の熊井浜を訪れた。岩場を越えて、その西に小さな砂浜がある。ここが、ぼくたちの象牙海岸・・・遠い夏。いや、遠すぎる夏に想いを馳せた。

- 2010/05/14(金) 13:15:24|
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