昨年度実績報告の第4弾は科研です。
【研究種目】 挑戦的萌芽研究
【研究期間】 平成19年度~平成21年度
【課題番号】 19656157
【研究課題】 文化的景観としての水上集落論
-世界自然遺産ハロン湾の地理情報と居住動態の分析
【研究実績の概要】
2009年度は2007~08年度におこなった調査研究を総括し、報告書の編集・刊行に集中した。以下、目次を示す。
第1章 世界遺産条約と文化的景観
第1節 世界遺産条約
第2節 世界遺産と文化的景観
第2章 世界自然遺産ハロン湾
第1節 ハロン湾の世界遺産一覧表への登録
第2節 登録後の世界遺産委員会におけるハロン湾の保全状況に係る審議経過
第3節 世界自然遺産ハロン湾の保全に関する課題
第3章 ハロン湾の水上集落と居住動態
第1節 東南アジアの水上居住に関する研究小史
第2節 ベトナム水上集落調査の概要
第3節 フエ市ドンバー川の家船群
第4節 ハロン湾と水上集落
第5節 クアヴァン水上集落
第4章 水上集落の測量と景観シミュレーション
第1節 水上集落の測量と配置図の図化
第2節 水上集落景観のシミュレーションCG
第5章 ハロン湾水上集落景観の評価と課題
第1節 景観変化と居住性能
第2節 文化的景観の評価 -世界遺産の観点から
第1章では、世界遺産条約における「文化的景観」の意義と内容を説明し、世界自然遺産ハロン湾の景観は自然物の審美的景観だけでなく、漁民の水上集落と海面地形との融合である文化的景観が重要な意味をもち、それは文化遺産の一つとして評価の対象になることを述べた。第2章ではハロンの地理・歴史を概括した上で、クアバン村での調査・測量の成果を報告し、CGシミュレーションを駆使した景観分析についてまとめた。第3章ではハロン湾の文化的景観をさまざまな側面から評価し、今後の方向性を示唆した。本報告書の目玉となるものは、地理情報の集積に基づく近未来水上集落景観のシミュレーションである。それはベトナム政府が提案している未来型水上建築を用いたシミュレーションであるが、そのシミュレーションが示す近未来の集落景観は世界自然遺産ハロン湾の景観をスケールと意匠の両面で不適合であることを主張した。本論の主眼とするところは、漁民たちの暮らしている筏住居の再評価である。環境負荷が少なく、景観的調和をもたらしている筏住居の持続的発展こそが肝要であることを結論とした。なお、補足調査として、中国広東郊外の世界文化遺産「開平の村落と望楼」を視察した。
【研究内容又は研究成果に関するwebページ】
以下、いずれもLABLOGに連載された調査紀行文である。
「越南浮游」
http://asalab.blog11.fc2.com/?q=%B1%DB%C6%EE%C9%E2%DE%E2%A1%CA 「越南浮浪」
http://asalab.blog11.fc2.com/?q=%B1%DB%C6%EE%C9%E2%CF%B2%A1%CA 「越南慕情」
http://asalab.blog11.fc2.com/?q=%B1%DB%C6%EE%CA%E9%BE%F0
- 2010/05/20(木) 12:55:12|
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