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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

ブロッサム・ギャラリー(Ⅱ)

「建築のビオトープ化」構想

 鳥取環境大学サスティナビリティ研究所拠点施設のコンペは「森林整備加速化・林業再生事業による公共施設の整備」(農水省・林野庁)及び「緑の産業再生プロジェクト事業」(鳥取県)に係わるものであり、「地球温暖化防止に向けた森林吸収目標の達成と木材・木質バイオマスを活用した低炭素社会の実現が求められる中、間伐材等の森林整備の加速化と間伐材の森林資源を活用した林業・木材産業等の地域産業の再生を図る」ことを目的とする。要するに、この事業は「建築の計画・設計」は一種の副産物であり、間伐材の活用による森林整備、地域産材の有効利用を目的としたものであることがご理解いただけるであろう。この目標を実現するためには、間伐材をはじめとする地域産材をふんだんに用いた木造建築であることが必須の前提条件となる。わたしたちの計画案では、一部を除くほぼ全ての部材・建具・家具等に地域産材を用いており、因幡・伯耆地方の民家や社寺建築に特有な構法・細部をできる限り応用した「現代の木造建築」に仕上げている。とりわけ、屋根の全面を覆うトチ葺(木片葺)は間伐材の大量利用が可能な屋根葺き技術であり、注目していただきたい。

 しかし、ただ木材を多用した建築を創れば今回の拠点施設計画の目的が達成されるわけではない。敷地はビオトープに隣接している。わたしたちはこの敷地条件をなにより重視した。ビオトープ(Biotop)とは人が創り上げた「生物社会(生物群集)の生息空間」であり、それは小さな「生態系」と位置づけうるものである。いわば「人工的な自然」がそこに形成されているわけであり、その「自然」をサス研拠点施設が破壊してはならない。拠点施設とビオトープの一体化こそが肝要であり、そのためには建築が人工物としての性格を弱め、「自然」に近づこうとする努力が必要であろう。いわば「建築のビオトープ化」こそが求められているのではないだろうか。そのためには、建築の「非建築計画」が必要になる。

南立面図-春


 「建築のビオトープ化」を実践するために、わたしたちは二つの提案をしている。一つは拠点施設の四周を囲むパーゴラ「ブロッサム・ギャラリー」である。パーゴラには蔓性植物を中心にさまざまな植物をうえて「生物多様性」を表現するとともに、建物の外壁をみえにくくする。また、建物の頂部に「芝棟」を設け、四季の遷ろいを表す草花を植える。スギ間伐材木片葺の緩い大屋根の上下を多彩な植物で埋めきってしまうのである。
 自然エネルギーの導入による省エネにも工夫を凝らした。間伐材を薪として使う暖房装置については 元助教グループが制作した中央アジア型のカマド(↓)を採用し、施設の内外から利用可能にした。また、樋で集めた雨水は貯水(濾過)タンクを2箇所に設け、飲用・水撒き用に供する。さらに、屋根の中間部分に細長いハイサイド・ライト用のガラス窓を巡らせ、ホール・研究室・事務室に自然光を取り込めるようにした。
 以上のように、わたしたちの計画案は、

  )間伐材・地域産材をふんだんに用いた木造建築
  )生物多様性を表現するブロッサム・ギャラリーと芝棟
  )自然エネルギーの導入

を目標に掲げたものであり、そのすべての要素が低炭素社会の実現を可能にする未来の環境共生建築のあり方を示すものと自負している。(轟)

山田式ストーブ

  1. 2010/06/09(水) 13:02:09|
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