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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

ブロッサム・ギャラリー(Ⅲ)

サス研敷地写真1


敷地とビオトープの重複関係

 建設予定地(以下、「敷地」)は南北に長く、平坦地が東西方向に扇形状に広がる。道幅3.5mの歩道を挟んで東側に講義棟が隣接しており、講義棟出入口と歩道を湾曲した小道が結び、三叉路となっている。いうまでもなく敷地に沿う歩道は、人や自転車の動線であり車両の進入は原則禁止である(↑)。西側をビオトープの小川が流れる。小川となる窪地の幅は3mを測る。現状の敷地内にみとめられる植生は、歩道の両側にソメイヨシノの成木が並ぶほか、敷地北側にアカシヤ、サザンカの成木や山吹が茂る。平坦地のほとんどをタンポポやカラスノエンドウ、シロツメクサなどが覆い、ところどころに杉苔が群生している。サステイナビリティ研究所拠点施設は、車道から教育研究棟に続く歩道に沿って計画する。講義棟に向かう湾曲路の対面を入口とし、エントランスホールを中軸に、南側に研究室ブロック、北側に管理ブロックを配する。
 サス研拠点施設は、南北21.6m×東西12mを測る南北棟の長方形平面をした平屋建物である。三叉路正面の敷地にこの規模の平屋建物を配すると、裏側にあたる東側の一部が水路をこえてビオトープのエリアにくい込む。しかし、繰り返すまでもなく、拠点施設とビオトープの一体化こそが本計画案の目標であり、施設とビオトープの重複関係を逆手にとって計画している。水路に張り出したデッキや研究室は懸造とし、水路の下にコンクリートの基礎を打ち、さらにその上に自然石の束柱を立て、木材を支える。デッキの床材には水に強い栗やヒバ材を用い防腐処理を施す。研究室の床下には厚い防水層を設けるべきである。
 面積についても触れておく。パーゴラを含む施設全体の平面は規定(延床面積:225㎡)よりも大きくなる。しかし、四周のパーゴラは建築面積には含まれないので、延べ床面積は規定内に納まる。ピロティの入口・ウッドデッキ・覆屋の一部は法律上延べ床面積に入るが、これらの部分もパーゴラに変更することが可能であり、さらに床面積を小さくすることは可能である。

20100610断面パース1


木漏れ日のロビー

 エントランスホールは、ミーティングスペース・休憩スペース・展示ギャラリーを兼ねており、ホール上部に設置したハイサイドライトから降りそそぐ陽光が幻想的な雰囲気を醸し出す。私たちはこのホールを「木洩れ陽のロビー」と呼んでいる。正面奥に山田元助教グループが制作したストーブ(中央アジア式カマド)をおき、その周囲を大壁の耐火壁で囲む。山田型ストーブは、現在、教育研究棟横の駐輪場片隅に雨ざらしの状態で放置されている。本計画案ではこれを移設するのだが、現在あるものをそのまま移設するのではなく、いったん解体し、設計寸法を比例拡大したやや大型のものを施設内に再現する。現在のストーブに採用されている瓦・土などの材料は、もちろん再利用する。耐火壁を隔てた外側は簀子縁風のウッドデッキとし、橋兼歩道としてビオトープの対岸にのばす。なお、ウッドデッキ側からもカマドを使えるようにする。これらについての詳細は別に述べる。
  エントランス両脇の2ブロックはミニ・ギャラリーとする。パネル展示などを考慮し、壁面を大壁とし、一方を展示用の棚を設置する。研究室1は南東側、研究室2は南西側にわけ、その中間スペースの北側を開架書庫とする。開架書庫は上げ下げ戸で開閉し、閉めたときにプロジェクターを投影するスクリーンとなる。書庫の南側は研究室用倉庫で、屋外の覆屋と接し、歩道の動線と交わることなく、車道から研究室用倉庫まで直接2トントラックで物資を搬入できる。事務室・所長室は北東隅に置く。その北側にトイレを配し、さらに北西側にギャラリー用倉庫を置く。

サス研平面図


生物多様性を表現する緑化パーゴラ

 繰り返し述べることになるが、今回のコンセプトは「建築のビオトープ化」あるいは「建築の非建築計画」である。現存するビートープの隣に、もうひとつのビオトープを創れば、建築と環境・景観は自ずと一体化する。この目的をクリアするために、研究所の四周に幅3.6mのパーゴラを巡らせることにした。このパーゴラには、果実と花が両方楽しめる蔓性植物を絡ませる。常緑のフユヅタ・ナツヅタをベースとして、さらにキウイ、キイチゴ、スイカ、ゴーヤ、ヒョウタンなど多様な植物をゾーン分けしながら茂らせる。この緑に覆われたパーゴラを「ブロッサム・ギャラリー」と呼ぶ。ブロッサムとは「果実の花」のことである。たんなる観賞用の花ではなく、果実が実る花を植えることで、ギャラリーを回遊しながら季節ごとに変化する花と果実の両方を楽しむことができる。また、植物の種類を多くすることで、その場所に多くの動物が集まることが期待される。すなわち、緑化パーゴラは「生物多様性」を表現する場にもなる。さらに、緑化パーゴラによって建物の外壁をみえにくくし、拠点施設を緑化景観に埋め込んでビオトープと一体化させるのである。なお、南側に設置する覆屋は、パーゴラに連続するように隣接して配する。覆屋は経費節約のため軽量鉄骨造・波形スレート葺の素朴な建物とするが、屋根の上にパーゴラを被せ、壁・屋根の全体を緑化修景する。(Mr.エアポート)

サス研究所平面
↑画像をクリックすると大きくなります。


  1. 2010/06/10(木) 12:59:16|
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