「木造軸組構法」と「木壁組積構法」 拠点施設となる木造建築に「木造軸組構法」と「木壁組積構法」を併用した。
今日、多くの木造建築の構造形式に用いられている「木造軸組構法」に対して、「木壁組積構法」とは、いわゆる板倉・校倉などの累木壁構造である。ログハウスがこの構法の典型だが、柱などの垂直財を用いずに、横材を積み上げて木の壁構造とするものであり、地震に強い構法としてよく知られている。施設の南側に配する二つの研究室と、北側に位置する管理棟(事務室・トイレ・ギャラリー用倉庫等)は独立した木壁組積構法によって壁体を形成している。それ自体で十分耐震性を備えているのである。一方、累木壁とは独立して、2.4m四方のグリッド上に整然と七寸角の柱を立てて小屋組を組み上げる。ただし、ホール中央では一部の柱を省略し、径八寸の丸柱を立て、大断面の小屋組と、胴差・通し貫を桁行、梁行方向に渡すことで構造を強固にし、開放吹き抜けの大空間を確保している。
また、管理ブロック北側は屋根のみのピロティとし、ブロッサム・ギャラリーに取り込む。小屋組は因幡の民家に特有なサス兼垂木(斜め梁)を基本とし、ホールの梁行方向では松の湾曲梁の中点に桁材をおいてサスを支持する。桁行方向では貫上に立てた直材と湾曲材の大瓶束で牛梁を受ける。ホールにおける牛梁・大梁・湾曲梁・湾曲束は民家型梁組の醍醐味を強くアピールするであろう。
一方、研究室と事務室の上部は、木壁組積構法の壁体上に小屋梁を渡して、その上に束を立てる和小屋組とする。ただし、ハイサイドライトの陽光を取り込むため、水平の天井は張らない。ハイサイドライトより高い位置から反対側に向けて斜め梁をわたし、その上に斜め天井を張るのである。この結果、研究室・事務室においても和小屋と斜め天井を観賞でき、室内にやわらかな自然光を取り込める。(タクオ)

※画像をクリックすると大きくなります。
- 2010/06/12(土) 00:04:36|
- 建築|
-
トラックバック:0|
-
コメント:0