
アンテナのない下宿生活は苦しい・・・ですが、なんとかW杯を生きのびる道を発見しました。ネット喫茶で地上波がみられるんです。パソコンに14インチのテレビがくっついてる部屋があるんだ。パソコンモニターにテレビを映すことのできる部屋もあるのだけれど、どっちの操作が楽かとカウンターで訊ねれば14インチテレビだというので、そちらの部屋を選んだ。深夜の3時すぎ。3時間パックで千円ちょいでした。
国家斉唱のあたりからライブをみた。オランダのスタメンが次々と画面にアップされていく。華がない・・・(若いのに)髪の毛もない。体がごっつくて髭が濃いだけだな、なんて思ってみていたら、最後にあらわれたのがスナイデル。この忍者のような男がいなかったら、今回のオランダは、ほんと、ごく普通のヨーロッパ型チームにすぎなかったであろう。
以前に書いたことがあるけれども、これまでオランダは世界最強と目される時代が3回あった。
1974~78年ころ: クライフ(-ニースケンス-レンセンブリンク・・・)
1988~92年ころ: ライカールト(-ファンバステン-フリット・・・)
1998W杯: ヒディンク監督(-ダービッツ-ベルカンプ・・・)
どの時代も世界チャンピオンになれなかったけど、そりゃもう、選手とチームには華がありました。一人ひとりが格好いいし、なにしろ攻撃的でパスがよく通り、まさにバルサの原型ここにあり! 今回のオランダをクライフは「守備的」だと言って非難しているらしい。が、あの憎たらしいほどクールなファンマルウェイク監督は「だれの批判も気にせず、だれの助言もうけない」と受け流す。

今回のオランダは退屈なチームだ。みていてウキウキしませんね。そんなオランダを、BS1の解説者、山本昌邦(アテネ五輪代表監督、元磐田監督)は「ポゼッション・フットボールの代表」だと誉めそやす。みなさん、ご覧になったとおり、そんないいもんじゃないよね。まぐれのようにして入ったファンブロンクホルストのロングシュートからスナイデルの技ありシュートまでの数十分間、フィールドを支配していたのはウルグアイだった。山本-shitataka-昌邦はウルグアイを「日本と似た堅守速攻のチーム」だとも言った。そりゃ、ウルグアイに対して失礼ってもんですよ。今回の日本代表はパラグアイと似た超守備的チームで、ベスト16という快挙をなしとげた。パラグアイもベスト8に勝ち名乗りをあげた。しかし、両者ともベスト4の壁には跳ね返された。ウルグアイがベスト4入りを成就させたのは、日本と同じぐらいの堅い守備に加えて、スアレス、フォルランという凄いアタッカーをもっていたからです。日本には、あんな素晴らしいストライカーはまだ一人もいない。ああいうストライカーが日本にあらわれて、現状の守備力をより熟成させていけば4強入りも夢ではなくなるでしょう。
それにしても、フォルランは格好いい。22人のフィールドプレーヤーのなかで突出したオーラを放っておりました。前半の(利き足ではない)左のミドルは凄かったね。よくもまぁ、毎試合のように、あんなに素晴らしいミドルを連発できるものだ・・・

オランダのサッカーはとらえどこらがない。正直、よく分かりません。ドイツのように、相手にもたせて守備ブロックをつくり隙を狙っているのか、じつは足が動かなくなって自陣に貼り付いてしまっているのか? なにぶん
ユーロ2006のロシア戦が頭に残っていますからね。あのときのオランダは惨めなほど動けなくなっていた。アルシャビンにずたずたにされたあの試合が再現されるかもしれないと思いはじめた後半の中頃、またあの男にやられてしまった。2点めのスナイデルのシュートは「オフサイド」と判定されても文句の言えないものだったけれども、今大会のスナイデルには女神が微笑んでいる。スナイデルは、どう考えてプレーしているのだろうか? どの試合でも「消えている時間」が結構ながい。意図的に姿をくらましているのだろうか。自分が機能していないようなふりをして、後半の勝負どころで動いてやろうと最初から企んでいるのかもしれない・・・結果をみると、日本戦がそうだったように、後半20分ころからスナイデルは活躍するのです。決勝戦の対戦チームは、ここのところをしっかり抑えておかないと、またまたまたスナイデルにやられるだろう。
ところで、山本-shitataka-昌邦という解説者は、いったいどこをみているんだろうと頭をひねることがしばしばある。たとえば、4強に残ったオランダ、ウルグアイ、ドイツ、スペインのうち「堅守速攻」型はウルグアイだけで、他の3国は「ポゼッション」型だと山本は言い切る。わたしの見方は全然ちがう。今回、「ポゼッション」型はスペインだけですよ。他の3国は基本的にリアクション・フットボールだと思う。ドイツの場合、ポゼッションもできるけど、あえて相手チームに攻めさせて、猛スピードのカウンターで得点を量産しているのはあきらかでしょう。オランダも、前戦の3~4人は攻撃的だが、守備ラインを下げてリスクを冒さない。敵に隙が生じるのをじわじわとまち、忍者スナイデルが暗闇からあらわれ、とどめを刺す。
リスクを冒して攻撃しているのはスペインだけ。ストッパーがハーフェイラインの前にまで押し上げてくる。こうなると、守備ラインの裏に大きなスペースができるわけで、これを突かない手はありません。ドイツはイングランド、アルゼンチンという攻撃型チームと戦って、カウンターから計8点をたたき出した(オーストラリアも加えると計12点)。スペインもまた攻撃的だから同じ弱点をもっており、ドイツにとっては歓迎すべき相手でしょう。しかし、オランダはよく分からない。極端な話、日本対パラグアイみたいになっちまう危険性すらあります。両者引き気味で、カウンター狙い、隙狙いだとしたら、大量得点は見込めない。その場合、決定的な仕事をする可能性があるのが、いうまでもなく、スナイデルなんだな・・・この忍者のような中盤を「後半」どう抑えるかで勝敗が決まるように思っています。
- 2010/07/08(木) 00:14:13|
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