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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

歴史が動いた一戦

01ドイツ戦05


 長いワールドカップの歴史のなかで、開催国・優勝経験国以外の国が初めて戴冠することが決定した。準決勝のドイツ対スペインは、まさに歴史に残ると一戦となった。大穴、ドイツにかけたわたしのトトも終わった。

 試合が動いたのは後半だが、ドイツの敗因は前半の入り方にあった。オシム流に言うならば、

   「相手をレスペクトしすぎてはいけない」

 ドイツの戦い方は、まるでパラグアイのようだった。昨日も書いたように、ドイツのサッカーは「リアクション・フットボール」ではあるけれども、日本やパラグアイほどの「超守備的サッカー」ではない。イングランドとアルゼンチンから4点とったチームが、なぜあれだけ引いて守備ブロックをつくってしまったのか。ああいう守り方はパラグアイや日本にこそふさわしい。そして、パラグアイや日本のほうが、ああいう守り方に長けている。たとえばパラグアイならば、自陣の全域でプレスをかけ、スペインの球回しを自由にさせないようにしていた。日本ならば、大久保のような前線の選手もボールを追い回した。ドイツの場合、画面をみている限りでは、ペナルティ・エリアのなかでボールを跳ね返せばよい、という発想であり、高い位置でのプレスが弱く(半ば放棄している?)、完全にスペインに中盤を支配された。これで、スペインにリズムが生まれた。
 スペインの選手はスキルが高いだけでなく、どんな場所でも即座に複数のトライアングルをつくり、短いパスをつないでいく。そして、ボールを奪われた瞬間、トライアングルを形成している選手がボールキープするドイツの選手にプレスをかける。いわゆる「集中守備」である。クライフが編み出したこのシステムによって、スペインはボールとゲームを支配し続けるのだが、これに対抗しようと思うなら、ドイツは勇気をもってラインを上げ、スペインと同じようなトライアングルをつくってプレスをかけ続けるしかなかった。しかし、ドイツ中盤の動きは鈍かった。運動量が足りない。ドイツ選手の心理がどうだったのか、わたしには分からないけれども、「中盤をスペインにあけわたしてもよい」というふうにしか受け取れない前半のゲーム運びであった。

01ドイツ戦02


01ドイツ戦04

 ハーフタイムに都並や北澤が指摘していたように、セルヒオ・ラモスのポジションがいちばんの問題だった、右サイドバックの選手がいつでも右ウィングの位置まで押し上げている。対するボアテングとポドルスキはそのマークのために下がったまま。ラモスがあそこまで常時あがってきているということは、スペイン陣内の右サイドにスペースができている、ということであり、ここを反復的にドイツは突くべきだった。いつもなら、エジルがそのサイドに流れてライン際に位置取りし、右のミューラーが中央に入っていくという動きがあり、その流れのなかでしばしば得点がうまれた。しかし、スペイン戦でエジルが左サイドに流れるシーンはほとんどみられなかった。勇気をもってラインを押し上げ、ラモスの裏を徹底的につくべきだった。

 前半最初のドイツのコーナーキックで、得点の匂いがした。やはり高さではドイツに分がある。反則をもらってセットプレーを繰り返したり、左右のサイドからアーリークロスをあげ続ければ点がとれるだろう、と思って画面をみていた。しかし、ドイツの選手は押し上げていかない。リスクを冒さない。だから、ファウルをもらえない。クロスがあがらない。それに、笛を吹かない審判だった。両軍の選手が倒されても、ハンガリー人の審判は流して、試合をとめなかった。良い審判だったが、セットプレーに活路を見いだしたかったドイツには不利なレフェリーで、流れに重きをおくスペインに有利に働いた感は否めない。

01ドイツ戦03

 前半の状況からみて、スペインが点を取るのは時間の問題のように思われた。そして、プジョルが渾身のヘッドをコーナーからたたき込む。セットプレーでは有利なはずのドイツがセットプレーで失点した。残り15分。ここで勝負は決まった。わたしは2点前後の点の取り合いを期待していた。じつは週末にパラグアイ戦、ポルトガル戦の録画を見直していたのだ。この2試合をみる限り、今回のスペインはたいしたことない。十分、点はとれる。2点前後の戦いになると思っていたのである。それが・・・始まってみれば、ドイツは低いラインの「守備ブロック」に依存して攻めようとしない。おおいに落胆した・・・臆病なドイツがスペインに本来の輝きを取り戻させたのではないか。

 スペインのサッカーは見事だった。玉捌き、パスコースのつくりかた、集中守備。不安視されたディフェンスラインも見事に統率されていた。クライフが1974年のW杯で世界にお披露目したトータル・フットボールは2010年W杯のスペイン代表によって完成されたと言っても過言ではないだろう。決勝の相手は、クライフの孫たちである。クライフは孫たちのプレーを「守備的だ」と批判している。多くの専門家は、スペインがオランダを下して賜杯を手にするだろうと予想しているが、今大会はなにがおきるか分からない。イタリアやフランスはただ弱かっただけだが、ブラジルやドイツの敗退を予想する人は少なかった。
 鍵を握っている選手は、何度も書いてきたとおり、インテル・ミラノのMF、スナイデルであろう。オランダもまた昨日のようなロースコアの戦いを仕掛けてくるだろう。圧倒的なポゼッションを誇るスペインが勝つか、その隙をついて忍者のようなスナイデルがなにかをやらかすか。スペイン対オランダという視点ではなく、スペイン対スナイデルという視点で決勝の観戦を楽しもうと思っている。

01ドイツ戦01
↑この夜はテレビ付の禁煙室が埋まっていて、パソコンのモニターで試合を観た。ときどき画像が消えて、落ち着きませんね。

  1. 2010/07/09(金) 00:18:45|
  2. サッカー|
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