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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

摩尼寺「奥の院」発掘調査日誌(Ⅲ)

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さて、遺構検出!!

 8月5日(木)。暑い日が続きますが、発掘現場は風がよく通り、木陰も多くて清々しい涼しさに満ちています。本日は轟と武蔵が午前に期末考査のため、午前中の作業をエアポートさんとナオキさんの2人でこなさなければなりません。そこで、部長さんとドゥンビア(きっかわ)さんが応援に駆けつけてくれました。やはり普段人手が少ない分、みんなが集まったときに一気に作業が進むのはうれしいです。本日の作業内容は、除草作業の残り、トレンチ用の縄張りとなります。そして午後からは先生も参加し指導されるとのことで、ついに遺構検出がはじまります。

 参加者
  エアポート、ナオキ、部長、ドゥンビア、轟、武蔵、先生 計7名 

 いつものように8時30分に大学に集合し、9時30分に摩尼山に到着。本日は搬入する荷物が少ないため、エアポートさんが住職に挨拶している間、他のメンバーは先に現場に向かいました。10時に現場に到着し、まずは除草作業から。遅れること30分後、エアポートさんが現場に到着し、トレンチ用の縄張りを始めました。縄張りを済ませれば、先生に発掘調査の指導を受ける準備が整うのですが、少しトラブルが発生しました。最初のトレンチの計画図では障害物が多く、3度も縄張りをやりなおしたそうです。この発掘調査ではL字トレンチを2つ背あわせにし、さらに四分法で建物跡の1/2を掘り下げていく予定です。

 一方そのころ、轟と武蔵は11時40分に期末考査が終了したため、12時に大学を出発し、12時30分に先生と門脇茶屋で落ち合いました。それから先生・轟・武蔵の3人で「奥の院」を目指します。先生は「遠いな・・・シビアだ」と言いながらも早いペースで登って行き、現場に到着したのは13時。ちょうどエアポートさんたちが縄張りを終え、除草作業をおこなっているところでした。休憩を済ませ、先生はさっそく唐ぐわを手に取り、表土はぎの見本を学生たちに見せます。
 そして先生の指導を受けながら、学生たちも少しずつ表土を剥いでいきました。「ゆっくりでいいからとりあえず5cmほど掘り下げてみよう」と先生から指示がでます。すると、三和土(タタキ)と思われる建物の基壇土が徐々に見えはじめ、周りの柔らかい黒灰土との境界を見比べ、建物の基壇範囲がおぼろげながら、わかってきました。


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 こうして進んだ「奥の院」初日の遺構検出ですが、早くも遺物が発見されました。L字トレンチの表土上に寛永通宝が発見されたのです。寛永通宝は江戸時代を通じて広く流通した銭貨で、寛永13年(1636年)に創鋳、幕末まで鋳造されました。この寛永通宝は1659年まで発行されていた「古寛永」と、1668年以降に発行された「新寛永」に分かれます。表土上から発見された寛永通宝は建物廃絶後の廃棄物である可能性が高く、かりに「古寛永」だとすれば1636年以降(で1659年からそう大きく離れない年代)、「新寛永」なら1668年以降幕末までの廃絶という可能性を示唆しています。「古寛永」か「新寛永」かで、廃絶年代がかなり前後するので、貨幣を専門とする考古学者に鑑定を依頼したい、と先生はおっしゃっていました。
 崖に近い南側のトレンチの南端部は三和土の外側の黒灰土で皿の底のようにみえる平たい土器もみつかりました。これについては年代が分かりません。やはり考古学の専門家に鑑定していただく必要があります。
 さらに驚いたのは、黒い土器と思われる遺物が礎石の下に根石のように噛ませてありました。先生は「瓦器(がき)」かもしれないとおっしゃいます。「瓦器」は近畿地方西部を中心に鎌倉~室町時代前半期に生産され、西日本を中心に流通した土器です。仮にこの黒い土器状の遺物が「瓦器」であった場合、調査中の礎石建物は12~13世紀ころの竣工とみなせるでしょう。

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 わずか半日の表土剥ぎを中心とする調査でしたが、寛永通宝と瓦器状遺物が発見されたことにより、検出中の建物は「中世の前半期に建設され江戸時代の前半期に廃絶した」という年代観が漠然とイメージされるようになりました。今後の調査により、この年代観はどんどん修正されていくことでしょう。
 明日の調査が楽しみです。(轟)

  1. 2010/08/06(金) 20:14:51|
  2. 史跡|
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