盆の中日に、英訳論文の校正がどっとメールで送られてきた。ある国際学会で院生たちが発表したい、というので結構なことだと思ったが、まさか〆切が盆明けに迫っているとは思いも寄らず・・・
論文は前後編に分かれていて、総計12頁(図表含む)。青谷上寺地の建築部材に係わる復元研究なんですが、みなさん想像できますか。最低3日はかかる仕事です。他の仕事をまったくしないで、まる3日必要でしょうね。校正なら楽ではないか、と思われるかもしれませんが、実際はほとんど書き直しです。放置してしまうと、どうなるかと言えば、このまま審査を受けることになるので、落選間違いなし・・・
以前述べたように、わたしは「
校正マシーン」に近い状態が昨年末からずっと続いています。次から次へ、恐ろしい量の原稿を読んでは校正し、その間隙を縫って自らの原稿を書いている。おかげで、人の原稿を読むと、ついつい直したくなる悪癖が身に付いてしまいました。しかし、マシーンでいられるのは、その言語が日本語だからです。外国語の文章となると、まるで勝手がちがう。電子辞書片手に悪戦苦闘するしかありもはん・・・
14日に翻訳をスタートさせ、まる1日頑張ってせいぜい4頁・・・盆の中日に線香を焚くこともせずに集中しましたが、そんな罰当たりなことをしてはいけないと深く反省し、「おじいさん、昨日は線香忘れてごめん」と仏壇に頭を下げながら、昨日は20本ちかい線香を焚き続け、翻訳してました。
たとえば、こんな文章を英訳してるんですよ。
家形埴輪をモデルとして錣葺(しころぶき)入母屋造の屋根を復元しようとすると、
「二間四面」の平面がふさわしいのだが、建物Dの場合、寸法的に大きな問題が
ある。桁行柱間寸法(約4.8メートル)と梁間柱間寸法(約3.1メートル)が著しく
異なっている。この柱筋に合わせて垂木をまわすと、庇屋根の隅が45度でおさまら
ない。そこで、妻側の柱筋から3.1メートルのところに大瓶束(たいへいづか)を
立てることにした。青谷上寺地の建築部材では、柱上端の仕口として輪薙込
(わなぎこみ)が普遍化している。輪薙込を束の下側に作って貫材に落とし込めば、
原始的な大瓶束になる。
これを英語にするんですよ。12頁ですよ!?
こんな仕事を盆休みにやらされる覚えは、正直、ないわけです。学生の指導が本務のわたしではありますが、ようやく勝ち得た家族との休日にこんな仕事をやっている。ただではすまんぜよ・・・
翻訳とか通訳という仕事は高いのよん。正式な請求書にして院生に郵送する所存であります。
- 2010/08/16(月) 00:32:19|
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