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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

摩尼寺「奥の院」発掘調査日誌(ⅩⅣ)

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ブローニーで遺構を撮影!

 8月21日(土)。ついに遺構の写真撮影の日が来ました。撮影のために松江市より山村カメラマンが来鳥されるため、朝10時に門脇茶屋で待ち合わせという段取りで、先に現場にあがる先発隊とYさんを出迎え、撮影器材を運ぶ後発隊(助手2名)とに分かれることにしました。
 先発隊は前日に作成した、撮影アングルの計画図をコピーしてから現場に向かったのですが、普段より少し早い9時20分に摩尼寺に到着しました。山村さんが「奥の院」に来られるまで30分以上あるため、先発隊は現場の準備に取り掛かれるだろうと思っていたのですが、なんと山村さんは先発隊が摩尼寺に着いたときにはすでに茶屋に着いておられたのです。朝7時に松江を出発されたのだそうです。しかし先発隊も荷物を抱えており、とても撮影器材を運べる状態ではなく、申し訳なく思いながら、器材の搬入は後発隊にゆだねることにしました。
 
 一足先に現場にあがった先発隊は、遺構の状態をチェックし、撮影の補助に必要な道具を準備するのですが、轟の姿がありません。轟は先発隊として、毎朝恒例になっているご住職へ挨拶に向かったのですが、なかなか現場にあらわれないのです。じつはご住職より大量の缶ジュース(20本ほど)の差し入れをいただき、それをMyリュックに詰め、現場を目指していたのですが、あまりの重さに苦戦していたとのこと。前日にエアポートさんが14リットルの水を現場に運んでいたのですが、それに及ばずとも、なかなかの重さ。遅れて現場に着いたときには、ヘトヘトになっていました。それでも遺構の清掃状態を確認し、補助道具の準備を終わらせると、ちょうど後発隊のタクオさんと武蔵くんが山村さん、先生とともに到着。少し休憩したあと、この日の撮影の計画をYさんに伝え、いざ写真撮影に取り掛かります。

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 現場は午前と午後で陽のあたり方がずいぶん違うので、計画通りに進めることができるかどうか心配でした。
 まずは、遺跡の南東隅より、岩窟を含む遺構の全景を撮影しました。ここでの撮影は岩陰・岩窟と加工段が一体化した仏教建築遺跡であることを印象づけることを目的とした撮影です。それから徐々に西側に撮影場所をズラしながら、全景を撮影していきました。そして、各トレンチを部分的に撮影するのですが、陽のあたりによってトレンチの影のでき方が違ってくるため、先に午前中に日陰となる東側のA区とD区のトレンチを全景の撮影をしながらおさえていきました。午前中は陽のあたりによく目を凝らし、テンポよく作業を進め、計画には無かったですが、岩窟を下から見上げた構図の写真も撮ることができました。

 12時すぎに、ハマダバダ1号さんが遺跡に姿をあらわしました。ご自分も現場を一つ抱えていて、じつは遺構撮影の昼休みなんだそうですが、奥の院に興味を抱かれたようで、わざわざ来山されたのです。先生は手短に遺跡の概要を説明されていました。いまのところ、問題となる遺物は須恵器なのですが、先生が「薄い平底をもつ皿状の器」と説明される(現物は大学にあります)と、「平安時代後半のものではないか」とおっしゃっていました。その後、部長さんがハマダバダさんを岩陰・岩窟経由で立岩(山頂)まで案内されました。またいずれゆっくり見にきていただきたいものです。

 遅い昼休憩をとったあと午後からは、遺跡で特に重要な礎石の並びや検出された長形大土抗などの詳細部分のクローズアップ撮影をおこないました。C区の礎石列、A区の礎石郡、B区の土抗詳細を順番に撮影していき、最後に岩窟の下から遺跡を見下ろした構図で全景を撮影し、この日の写真撮影作業は終了しました。作業終了後、山村さんは「個人的に撮りたい」とおっしゃられ、岩陰の撮影をされていました。
 その後、山村さんと先生と撮影助手2名は岩窟から立岩まであがり、本堂に降りていかれました。この日は西陽が猛烈に厳しく、撮影器材も重いため、全員グロッキーしたとのことです。お疲れ様でした。
 わざわざ、遠方から撮影しにきていただいた山村Yさん、暑い中ほんとうにありがとうございました。この場を借りて、お礼申し上げます。

 さて写真撮影が終了したため、次なる作業は実測・レベル測量になります。実測が終われば、下層遺構の検出です。長形大土抗で発見された凝灰岩の基壇化粧がどこまで伸びているのか、その年代がいつごろなのか、いずれあきらかになっていくでしょう。
 今から楽しみでありますが、まずは実測!がんばっていきましょう。(轟)

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  1. 2010/08/23(月) 21:01:22|
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