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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

摩尼寺「奥の院」発掘調査日誌(ⅩⅥ)

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実測スタート!

 8月23日(月)。いよいよ上層遺構の実測が始まりました。平面実測とレベルの測量が終了次第、下層遺構の検出に移行するので、断面観察用のL字トレンチのあるA区とB区を優先して、A3の方眼紙に縮尺1/20で描き込みんでいきます。1枚あたり、2mグリッド×6マス分の範囲を記入。4区画すべてをA3サイズの方眼紙で実測していくと合計15枚になるので、目標は1人1日2枚のペースになります。がんばりましょう!
 なお、実測図の番付はイ、ロ、ハで分け、上からイ-1、イ-2、イ-3、イ-4、イ-5としました。

摩尼山地区割り 実測図img019
↑実測区番付図          ↑実測図(エアポート)

 さてさて作業に取り掛かると、遺構カードよりも正確に描き込まなければならないという緊張感に、作業は遅々として進みません。昼休憩の時点で各自の成果を見てみると、1枚目の1マスができたかどうか・・・先生に叱咤されたことは言うまでもありません。午後からは、遺構全域が太陽光にさらされ、全員汗びっしょりです。実測図に汗が落ちないように、こまめに顔や腕の汗をふき取ります。これには本当に気を使いました。
 この日の成果は、優先区であるイ-3、ロ-3、ハ-1、ハ-2、ハ-4が完成。1人2枚以上描いた学生もいれば、1枚目がまだ完成していない人もいたりして、状況はさまざまです。これも訓練です! 訓練!!

 実測の最中、昨日から除草作業をしていた斜面(C区西側)に露出している礎石風の石のまわりを先生がガリで掻き始めました。すると、石の周辺に三和土(タタキ)がある部分とない部分に分かれることが判明。そして、三和土がない部分を少し掘り下げていくと、大きな凝灰岩(切石)が面的にひろがっています。B区長形大土坑の底で検出された凝灰岩の石敷(下層基壇上面?)と同じ状況が崖面でも確認されたわけです。一方、D区の東北隅(やはり崖面の下)でチャックさんがみつけた「転倒礎石?」も凝灰岩であることが分かりました。これにより、下層基壇は加工段(整形平坦面)の左右にひろがる懸造であった可能性が高まっています。
 上層遺構については、下の写真の苔むした石がそれに対応します。そのうち、いちばん上にみえる平らな石が礎石で、周辺の三和土の状況からみて元位置を維持しているようです(下の2個の石は動いている可能性が高い)。しかも、南北グリッドの方位に沿ってみてみると、平坦面の礎石列と対応しており、上層遺構はやはり「懸造」の建物跡であったのはほぼ確実な情勢です。上層だけでなく、下層も懸造であることがみえてきた貴重な一日でした。(Mr.エアポート)

R0010323.jpg

  1. 2010/08/25(水) 16:11:36|
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