台風迫るなかでのミッション 9月7日(火)。これまで、<風景データベース ※1>、<レトログッズデータベース ※2>のデータをこつこつ集めてきたわたしたちですが、この日は新たに建築物の写真撮影にステップを進めることにしました。
今回撮る写真は、おもにまちなみの連続立面図を作成するためのものです。建物と一緒にアルミスタッフを映し、図面作成時、スケールの参考にします。連続立面図については2006年度のY先輩による卒業研究時、当時の本町通商店街が図面化されていますので、今回新たに変化したまちなみを再度図面化することで、倉吉のまちなみがどのように変わったかを示したいと考えています。また同時に、看板建築・町家の分布調査も兼ね、<建築物データベース>作成にも関ってくるため、当然ながら気を抜けません。

重伝建地区を含めたまちづくり全体をひろく構想することを目指し、本町通り以外の建物についても撮影をおこなう心積もりのわたしたちでしたが、初日としてはひとまず本町通商店街(東仲町~西町)の写真撮影をミッションとすることに。しがしながら、途中、台風9号の影響で降りだした雨により作業を中断したこともあり、そのミッションは達成できませんでした……
明日の調査に持ち越し、完遂したいと思います。
※1…倉吉を舞台にした谷口ジローの漫画『遥かな町へ』に描かれた風景と現在の風景を比較する
※2…『遥かな町へ』のなかで描かれたような懐かしさを感じさせる”昭和レトログッズ”をさがす
ところで、やはり、縮めて1m、伸ばすと5mにもなるアルミスタッフを抱えてまちを歩いていると、相当目立つようです。スタッフの力もあってか、撮影途中、安藤ミシン商会のお店の方に声をかけていただき、貴重なお話をうかがうことができました。振り出した雨に、雨宿りまでさせていただいて、ありがとうございました!

(↑安藤ミシン商会。右が居住区) (↑店内。後ろ一面すべてボタン)
もともとこちらでは倉吉女子洋裁専修学校が開かれており、学校で扱うミシンやボタンなどを取り扱う売店がいまのお店につながったとのことです。壁一面のボタンには、思わず歓声。すごい!
向かって右隣の建物はこのお店の居住区で、現在ではほとんど面影はみられませんが、昔は古い町家の外観をもっていたそうです。平成に入ってから改修したのが現在の姿で、改修しないで残しておけばよかった、としきりに残念がっておられました。本当に古い家のかたちを残していた建物で、文化財としても大変に価値があっただろう、そのまま残しておいたなら……と。
住人の方たちが現在進められている商店街内の修景事業についてどう感じているのかについてもお尋ねしたところ……
「町が綺麗に整備されるのは嬉しく、古い町家がそろって並ぶまちなみができれば、
誇りに思う。他の住人の方も、修景自体には共感している人が多いと思う」
「ただ、その修理費については、県(市)から何割か補助はあるが、残りは自己負担
しなければならない。住人には高齢者が多く、てまちが賑わっているわけでもないため、
先行きも不安で、現実とし修景のためにお金をかけられない」
もちろん、さまざまな事情や立場があり、それぞれ異なった意見があるとは思うのですが、「町家が美しくならぶ町になったら、誇らしい」というストレートなお言葉に、まちを思う気持ちを強く感じました。そのネックになっている修理費については、まさしく、昭和レトロ街構想とともにわたしたちが目指す「ローコストによる看板建築修景」で取り組む課題ですから、なんとも気が引き締まるような思いのしたきっかわです。(きっかわ・ドゥンビア・どんべえ)
- 2010/09/13(月) 00:16:00|
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