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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

摩尼寺「奥の院」発掘調査日誌(ⅩⅩⅤ)

洗い終えた土器たち


土器の洗浄

 9月1日(水)。私轟は、先生たちが中国出張に行っている間、鳥取県埋蔵文化財センターで「奥の院」発掘調査で遺物の洗浄・実測など整の理作業のご指導を受けさせていただくことなりました。県埋蔵文化財センターは、昨夏、どんべえさんがインターンシップでお世話になった組織です。

 初日は県埋文センターにすべての遺物を搬入しなければならないため、武蔵くんにも手助けをしてもらいました。搬入を終え、武蔵くんが埋文Cを去ったあと、ついに遺物整理の訓練がはじまりました。この日の主な作業は土器の洗浄です。土器洗浄は、表面をブラシ(スポンジでも可)で、断面ややわらかい部分は筆などで丁寧に洗っていきます。叩くようにというのは土器に付着した泥や土などの汚れのみを落とすためで、こすってしまうと、土器が磨り減って形が変わってしまったり、割れてしまうことがあります。また、表面に色が塗ってあったり、ススが付着している場合、それまで剥いでしまわないようにしなければなりません。
 今回持ち込んだ土器の中に粘土を濾して作られたものがありました。このような土器は長いあいだ水につけておくと、溶け出してしまうおそれがあり、他の土器と比べても脆いため手早く慎重に洗浄しなければなりません。
 断面の土は確実に落とすようにします。これは土器の破片同士を接合するときに断面に土が付着したままだと、土が残っている部分に接着剤が付けにくく、そこからはがれていく可能性がたかいためです。そして、土器の断面が汚れにより見えにくくなると、実測の際に観察しにくかったり、写真撮影の際に見栄えが悪くなってしまいます。洗い切れていない土器は次の作業ができず、また洗い直さなければなりません。このように土器の洗浄は次の作業を効率よくおこなうためにとても重要な工程です。また、遺物の洗浄をおこなう際に、異物とその取り上げのときに作成したラベルが離ればなれにならないようにしなければなりません。これを防ぐために今回は土器を洗浄するときに、ラベル(耐水紙)も一緒に洗うようにしました。

土器の洗浄道具
↑土器の洗浄に使用した道具

 所長さんの見解によれば、今回持ち込んだ土器は非常に年代幅が広いものだそうです。瓦器(がき)として取り上げた土器については、瓦器ではなく、「内黒土器」と呼ばれるものであり、年代的には古いもので、10世紀に多く見られるものだそうです。また中国の青磁香炉の欠片も含まれていますが、後世から導入されることが多いそうです(16世紀~)。現在の遺物の状況からみると、上層は中世の遺構であるのは間違いないが鎌倉時代まで遡るかはまだ定かではなく、南北朝時代あたりの可能性があるとご意見をいただきました。また土器の中には平安時代のものと思われるものがありましたが、土器のほんの一部の破片しか発見されていないため、全体の形が分かるようなカタワレが検出されるまで真実は分かりません。このような所長さんの話を聞かせていただくだけで、遺物の年代の幅広さが十分に伝わってきました。

瓦器と思われていた内黒土器(洗浄後) 中国青磁香炉
↑内黒土器(洗浄後)         ↑中国青磁香炉(洗浄後)

 初日は土器の洗浄で作業を終えましたが、洗浄しながらも遺物を観察し情報を読み取れるようにならなければなりません。この作業がいかに重要かということを指導を受けながら痛感させられました。次回は五輪塔の洗浄となります。一人で洗うにはなかなか量が多いですので、手早くこなさなければなりませんね。(轟)

  1. 2010/09/10(金) 01:16:19|
  2. 史跡|
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