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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

摩尼寺「奥の院」発掘調査日誌(ⅩⅩⅥ)

五輪塔の実測風景


五輪塔の洗浄

 9月2日(木)。県埋文センターでの作業2日目、五輪塔を洗浄しました。五輪塔は土器とは違って丈夫なため、筆などは使わずにタワシやブラシで洗っていきます。表面に付着した泥を落としていくだけなのですが、注意しなければならばいのは、五輪塔の表面に墨書がある場合です。墨書を含む場合は、土器のように慎重に洗浄し、文字が消えないようにしなければなりません。あるていど泥を落としてから、何か書かれていないか入念にチェックし、何も書かれていないならそのまま洗浄を続けていきます。
 幸か不幸か、今回持ち込んだ五輪塔の中に墨書を含むものはありませんでした。だから、ただ泥を落とすだけでよかったのですが、一人でやるにはなかなかの量だったため、まる一日かけて丁寧に洗浄しました。
 洗い終わった五輪塔ですが、石の材種が違うものがあり、形も似通っていますが、微妙に違う形状のものがあり、これらはみな五輪塔の作り手の癖なのだそうです。この微妙な違いを実測で表現しなければなりません。

洗浄された五輪塔
↑洗浄された五輪塔

五輪塔の実測 -水輪-

 9月3日(金)。この日は持ち込んだ遺物の洗浄が大方終了したため、本来なら土器の注記という作業になるのですが、県埋文センターと私たちの遺物用のラベルの表記が若干違うため、土器に関しては注記以降の作業を一時延期とし、洗い終わった五輪塔の実測をおこなうことになりました。
 五輪塔は正面からみた見通しの立面図と上から見た平面図、断面図を実測していきました。五輪塔は正面から見なければなりません。墨書があれば分かりやすいですが、ない場合は正面を捉えるのが困難になります。また各図面を描くときに、見通しの立面・平面図と断面図の違いに注意しなければなりません。

 はじめに五輪塔の中の水輪を実測しました。水輪は正面から見れば、変化や特長も少なく、図面にしてもパッとしませんが、まず実測する五輪塔の大まかな全体の長さと大きさを定規などで略測し、センターを捉えてから方眼紙に寸法を書き込みます。そして縦に定規又は三角定規を据付け、五輪塔の高さ(Y)を測ります。そこから別の定規で、X方向を測り、測点を方眼紙に打っていきます。ここで重要なのは、一度据え付けた五輪塔は極力動かさないということです。実測中に間違って動かしてしまうと、図面とズレが生じてしまうため特に注意が必要です。
 また実測図を描くときは、描く線は点の集合体となるため、細かく点を取るほど繊細な図を描くことが可能となりますが、点と点を繋ぐ際にグラフのようにカクカクしないようにスラっと描いていきます。また、真弧と呼ばれる道具があり、これで輪郭をとることができます。しかし真弧に使われている竹の性質上、どうして計りきれないとこがあるため、基本は手ばかりで側点をとっていくことになります。

実測に使用した道具の一部
↑実測に使用した道具の一部

 初めての五輪塔の実測ですが予想以上に苦労し、一枚の図面を完成させるのに半日かかってしまいました。実測の際の理屈が分かり、コツさえつかむことができれば、スラスラと書けるようになるそうですが、僕の場合は練習が必要でした。しかしながら、所長さんから「線が綺麗だね」とお誉めの言葉をいただきました。それでも満足はできず、微妙な表現や、もっと複雑なものもすばやく綺麗に描けるようにしばらく練習を積んでいきましょう。(轟)


  1. 2010/09/11(土) 01:26:28|
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