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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

摩尼寺「奥の院」発掘調査日誌(ⅩⅩⅧ)

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台風との戦い

 9月9日(木)。7~8日と鳥取に台風8号が接近し、大地に恵みの雨をもたらせた。おそらく現場のブルーシートには大量の雨水がたまっていることだろう、ドラム缶用の電動ポンプ片手に、中国甘粛にんだわたしは、一週間ぶりに現場に入った。
 このドラム缶用の電動ポンプは単一電池4本で動き、毎分10L排水する優れものだ。近所のホームセンターで見つけ、価格も3,000円と安価であったので、ためしに自費で購入してみた。使い物にならなかったら自宅で使おう。

 片道20分の道のりも、久しぶりのためか汗がよく出る。あいかわらず日差しは強いけれども、8月に比べれば、いくらか涼しくなった。風が心地よい。
 現場に到着すると、不思議なことに、あまり雨水がたまっていなかった。よく見ると、ところどころブルーシートを止めていた土嚢がトレンチ内にずり落ちている。どうやらたまった雨水の重みに耐えられなかったのか、土嚢がずり落ちたところからトレンチ内に雨水が流れ入ってしまったようだ。おかげで長形大土坑やL字トレンチには泥やごみ、落葉が大量に堆積していた。この日は、雨水を抜いたあと長形大土坑やL字トレンチの実測をおこなう予定であったが、この状況ではとてもじゃないが実測はできない。急きょ作業を、実測から現場復旧に切り替えた。

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 もちろん電気ポンプは大活躍! 順調に土坑の水を吸い出し、シートをはったA区のすり鉢状土坑に雨水をためていく。長形大土坑に溜めて凝灰岩を洗いたいのだが、凝灰岩が泥に埋まっているのだから洗う以前の問題だ。なぜここまで水にこだわるかと言うと、発掘現場は山頂に近い林の中なので、遺構を洗浄する水はふもとの小川から汲み上げるか、大学でペットボトルに水を入れて現場までもってあがるかしかないからだ。だから、雨水をできるだけ貯めなければならない。土坑にたまった泥水もせっかくなので上澄みをすくって貯水することにした。

 それにしても、トレンチ内に溜まったごみや泥の量は半端ではない。たった一週間現場を離れていただけなのに、掘り下げた面に1~2センチほど堆積している。なるほどこうやって遺跡は埋まっていくんだな・・・しかも、発掘序盤に草刈をして以降まったく草が生えてこなかったのに、人がいなくなると「しめた!」といわんばかりに草木が芽を出していた。生物の生命力は凄いものだ。
 この日は少人数だったので、掃除に丸一日かかってしまった。とりあえず、L字トレンチは片付いた。明日から実測ができる。あとは長形大土坑がまだドロドロなので、併行して掃除もおこなう予定である。(Mr.エアポート)

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  1. 2010/09/15(水) 00:45:39|
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