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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

摩尼寺「奥の院」発掘調査日誌(ⅩⅩⅩ)

毛沢東かばん


為人民服務 -毛沢東の人間ユンボ

 9月11日(土)。この日はレベル測量から作業を開始。轟は長形大土抗の平面実測が一部できていなかったので、先にそちらの作業をおこないました。下層で検出された遺構は上層とくらべて少ないのですが、レベル測量がテンポ良く進まず、結局、14時過ぎにレベル測量が終了し、やっと下層遺構の堀下げに入ることができました。
 まずは、ナオキさんが掘られていたA区の新トレンチを受け継いだ轟ですが、レベル測量中に先生が試し掘りをされており、現在掘り下げて到達したタタキより下に黒くサクサクした土が出てきて、さらに下に凝灰岩混じりの層が出てきました。ここでレベル測量を終了させた学生に先生からの質問が投げかけられました。

  「今ここで検出されたタタキと黒くパサパサした土と
   凝灰岩交じりの土これの順番が分かるか?」

 凝灰岩交じりの土が一番下なのは分かるのですが、タタキと黒くパサパサし土が上なのか下なのか、首をかしげながら悩んでしまいましたが、先生は、断面を観察した結果、A区の土層は、上から表土→タタキ→黒くパサパサした土→凝灰岩混じりの硬い整地層の順(上→下)となると説明されました。下の凝灰岩混じりの整地層は下層に係わる可能性があるのですが、それを証明できる遺物はなかなかみつかりません。

 その後、C区を担当しておられた先生は、西壁セクションの線引きをする予定だったのですが、以前武蔵くんが検出した礎石風の石の付近を軽く掘ってみたところ、周りがまだ黒い表土系の土だと判明したため、それを取り除きはじめました。まるでユンボの如く、すごい勢いで先生が土を掻いていきます。すると、さらにいくつか石が発見され、C区の集石とつながるような状態となりました。ここには礎石のような平たい石も検出されているため、抜き取られた礎石を集中廃棄した部分ではないか、ということです。ただし、土抗状の穴はなくて、石を廃棄した後に盛土をかぶせてパックしたようです。一定の方位でつながった縁石のような集石ではありますが、先生によりますと、生きている石は3割程度かもしれないとのことです。

A区の凝灰岩交じりの土
↑A区の凝灰岩交じりの土   


C区で発見された礎石廃棄土抗
↑C区で発見された新たな集石

 さて、早いもので摩尼寺「奥の院」発掘調査日誌も30回を迎えました。9月半ばに入ったことで、そろそろ学生は新学期もはじまり、自分たちの本来の研究にもどらなければなりません。発掘調査は本来なら調査員と別に、作業員を雇うのですが、なんとか近隣集落住民のご支援をうけたいとの願いをもって、下山後、茶屋喫茶店のご主人夫妻に相談しました。ご夫妻は丁寧に対応してくださり、覚寺集落までわれわれを先導し、自治会長さんをご紹介いただくだけでなく、事情を説明してくださいました。自治会長さんは、即座に「時期がわるい」と言われます。梨の収穫が終わって、稲刈りが始まる時期であり、農家では人手が足りないほどだというのです。しかし、翌日、役員会があるとのことで、発掘作業員の件も議題にだしておくとお答えいただきました。

 その後、帰り道で先生から現在の遺構からみた上層と下層の考察を説明していただきました。長形大土抗の波打つ凝灰岩を見た先生はやはり下層の「基壇」ではなく、自然地形の岩盤を掘削・整形したもので間違いないだろうとおっしゃられ、それにホゾ穴をあけ柱を差し込んでいたと考えておられます。摩尼山は、おそらく地盤の大半が凝灰岩のを基盤としていて、山頂の立岩や現場近く岩陰はそれが地表に露出したものであろう。今回調査している加工段は斜めの岩盤の山側(B区・C区)を凝灰岩岩盤を削って平坦にし、谷側(A区・D区)に削った岩や土を放り込んで整地してつくったものだと推定されています。興味深いのは、重要な遺物の大半が谷側の整地層に集中し、また大きな樹木も谷側の崖の近くに生育していることです。それは岩盤が深くて、整地土の厚い部分なのです。

 下層の検出はもうしばらくつづきそうではありますが、上層建物の礎石がうまくグリッドにのらないこともあきらかになってきました。地表面にたくさんの石がむき出しになっていた加工段ではありますが、その石の多くは元位置にない可能性がでてきています。あるいは、学生の描いた実測図の誤差が大きいのかもしれません。(轟)

疲れ果てた先生
↑人間ユンボ後、疲れ果て、現場用のシューズから登山靴に履き替える教授

  1. 2010/09/19(日) 00:40:35|
  2. 史跡|
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