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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

摩尼寺「奥の院」発掘調査日誌(ⅩⅩⅩⅩⅩⅤ)

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下層の井戸を発見!

 13日の午後から先生はスリ鉢状遺構(A区)の掘り下げ、わたしは遺物取り上げ、遺構カードの記入をおこないました。ナオキはさっそく、要求されたトレンチ(A区L字トレンチ北側)の深掘りに。
 さて、先生がスリ鉢状遺構をさらに40センチほど掘り下げると、垂直に下がる黒い層があらわれました(↑)。初めてこのような土層をみた私たちには何なのかよくわかりませんでしたが、先生によると、これは下層の井戸枠が炭化した状態だろうとのことです。これでスリ鉢状遺構の謎がたしかに解けます。以下のような変化のプロセスを先生は推定されているようです。

 1)下層の段階では、基壇はここまで及んでいなくて、建物の前に井戸が掘られていた。
 2)下層建物廃絶後、井戸は上側の一部の井戸枠だけ取り除いて埋められた。
 3)上層建物を建設する際に井戸の上面は平坦に盛土・整地された。
 4)しかし、時間が経つにつれ、建物(井戸上の柱)の重みのために下層井戸の
   中心部分が凹みはじめた。
 5)その凹みにあわせて上層の礎石を低い位置に据え直し(たしかに平たい礎石状の石が
   凹みの中心部分に残っています)、長い柱に差し替えて床を支えた。
 6)上層建物廃絶後、すり鉢の底に残る礎石をパックして隠したが、地形全体がすり鉢の
   形をとどめることになった。
 
 明日、さらに掘り下げ、先生が直々に断面の線引きをおこなうので、より真実に近づけることでしょう。
 他にも、昨日より部長さんが掘り下げていたA区東側の礎石周辺では、周囲に穴が確認され、このピットを「礎石落穴」と名づけました(↓堀形と落穴が重複している)。また、きっかわさん担当のA区南側のピットも楕円形であることが確認され、中から炭が出てきました。よってこれを「炭入土坑」とし、さっそくC14のために炭の取り上げをおこないました。明日、これらピットの断面の線引きと作図をおこなう予定です。

IMG_0923.jpg


 調査終盤にむけて、やることは山ほどあります。時間との戦いになってきました。常にその日の目標を設定し、作業をおこなわなくてはなりません。今週末が勝負です。(Mr.エアポート)

  1. 2010/10/17(日) 21:35:13|
  2. 史跡|
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