琴浦町箆津(のつ)の河本家住宅が重要文化財になることが決まりました。正式には「国の文化審議会が文部科学相に答申した」と書かなければならないようですが、なにぶん国の官僚のお仕事ですので「指定が決まった」と書いても、なんら問題ないでしょう。詳細は一番下の新聞記事をご参照ください。
河本家住宅の建造物に関しては、1期生のタクオ君(現M1)が2004年度の卒業論文とし、2期生のM社長がそれを編集して『
河本家住宅 建造物調査報告』(2005)として刊行しています。まっ、自慢じゃありませんが、この報告書が重要文化財指定のための下準備であったわけです。わたしの記憶が正しいなら、たしか2期生が4年生だった2005年の11月に河本家の公開にあわせて講演をさせていただいています。そして、今年の公開(11月3日~7日)でもまた講演させていただくことになりました。
河本家住宅は主屋が貞享5年(1688)の上棟と知られており、それは棟札の記載によるものですが、ほかにも客間や土蔵のすべてに棟札が残っており、敷地内のほぼ全ての建築の年代を知ることができます。こんな民家は滅多にありません。また、客間の欄間の意匠が突出して素晴らしいものであることもよく知られています。前回の講演時点ではまだ報告書ができていなくて、講演のあとに聴衆のみなさんと一緒に納屋にあがって棟札を外し、皆が胸躍らせて棟札の裏側をみたりしました。今年の講演は、少し見方を変えて、日本民家をひろく見渡しながら、河本家住宅の特徴をお話ししようと思います。とくに、中国山地周辺に分布する「ヒロマ型三間取り」に焦点をあてて、その住居史的位置づけを試みる予定です。もちろん河本家の主屋も「ヒロマ型三間取り」です。新聞記事には、ありきたいな演題がついているので、ここでもう少し洒落たタイトルに変えておきましょうかね。
以下、日時等です。
日時 2010年11月4日(木)午後3時~
会場 河本家住宅
講演者 浅川滋男
演題 河本家住宅の建築 -ヒロマ型三間取りの問題を中心に-
じつは、前日の3日(水=文化の日)に
六弦倶楽部の練習会が今年も「米子水鳥公園」で開催されることになっていて、ちょっと心配しています。参加するつもりではおりますが、新しい曲を披露する余裕などないので、いつものナンバーでお茶を濁すしかないでしょうね。移動はどうするかな??

ところで、上の新聞記事には、
倉吉の新町・西町・西仲町を重伝建地区に追加選定するよう答申されたことも伝えています。こちらは「本町通りアーケード商店街」に係わるモリさんの2006年度卒業論文で調査した地区であり、それをハルさんとトマトさんが編集して『
ふるきかぜ あたらしきかぜ』という報告書(2007)にしたものです。そして、今またきっかわさんと武蔵くんが谷口ジローを媒介として、新しい研究テーマに取り組んでいる地区でもあります。二人の研究課題は、重伝建の理念とは対立する部分もありますが、文化庁の考えがすべて正しいわけじゃありませんから、堂々とオリジナリティの高い研究に仕上げてもらいたいですね。明日もまた調査に行くそうです。
がんばれ、がんばれ!
- 2010/10/19(火) 00:59:38|
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