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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

摩尼寺「奥の院」発掘調査日誌(ⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅥ)

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雨との戦い(Ⅲ)

 さきほど釜山、関空経由で大学に戻ってきました。昨夜はサムゲタン(参鶏湯)で暖まったあと、釜山のスタバ(なんと5階建!)でゼミが始まりました。4年生2名、院生2名が卒論と修論の目次構成を示し、概要を述べたあと、先生にコメントを頂戴しました。あいかわらず厳しくもスルドイ指摘の連続で、ひょっとすると、わたしがいちばん遅れているのかもしれない現実にちょっと溜め息が・・・
 さて、発掘調査日誌の続きです。

 10月27日(水)。この日の作業は、以下の通り。

  1 Ⅰ区の掘り下げ
  2 五輪塔の取り上げ
  3 Ⅲ区の根切り
  4 井戸の掘り下げ

 秋の長雨で、現場は3日間も作業ができませんでした。この日も、前日の天気予報は曇りの予報だったのですが、夜が明けてみれば土砂降りの雨。本当、勘弁! これでは作業がまったく進まない。全国の発掘現場の方々も、きっと悲鳴をあげていることでしょう。

 さて、現場に上がってみると、一同仰天。まず、落ち葉がすごい。ここ数日で一気に気温が低下したせいか、現場は茶色一色。また、大雨で養生シートの上に相当量の雨水がたまり、シートが陥没。柱配置グリッドを示したロープは、シートの重みで緩んだり切れたり散々。先日こうなるのを防ぐために水抜きをしたはずなんですけどね。さらにはトレンチの壁にはカビやきのこが生える始末。もう笑うしかありません。そこで、午前中は現場復旧作業に専念しました。

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左:五輪塔の取り上げ 右:五輪塔の位置を示す土嚢

 この日、大山では初冠雪を観測。氷ノ山でも降ったらしく、響きの森のキム姉から部長さんにメールで知らせがあったようです。現場もこれまで味わったことのない寒さに襲われ、トレンチに溜まった雨水が冷たいのなんの。手はかじかみ痛くて痛くて仕方ありません。それでも、エンジンポンプのおかげで復旧作業は順調に進みました。
 午後からも雨は止むことなく降り続け、気になるⅡ区の平面検出も不可能な状態。よって午後からの作業は、比較的雨の影響をうけないⅠ区の掘り下げとⅡ区の五輪塔の取り上げをおこないました。Ⅰ区は林に囲まれており、多少の雨でも、密集した木の葉が傘の役割をしてくれるので、難なく作業がおこなえます。表土剥ぎの続きと、上層遺構面までの掘り下げをおこないました。一方、Ⅱ区の五輪塔取り上げ作業ですが、今回取り上げる五輪塔は、上層基壇土にくい込んだものや掘り下げて出てきたものが対象です。これらを取り上げ精査することで、上層の成立年代および下層の廃絶年代の確定に一歩近づけるでしょう。今回はC区を中心に火輪3個、水輪1個、地輪1個の計5点を取り上げました。

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 Ⅲ区は、先生に柱穴の平面を確認していただき、より鮮明にみえるよう遺構面に残る樹根を切除していきました。また、井戸の掘り下げは、前回の掘り下げで取り残していた黒灰色系の埋土をすべてとりさり、井戸枠抜取穴の線引きをおこないました。明日以降の掘り下げは準備万端。いい加減に晴れてほしいものです。(Mr.エアポート)

  1. 2010/11/02(火) 00:38:43|
  2. 史跡|
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