
昨日(25日)、摩尼寺「奥の院」の発掘調査現場で、朝日新聞鳥取総局の取材をうけました。相前後して、県埋蔵文化財センターの考古学者お二方も現場に来られ、3名の方を相手に1時間ばかり調査区の概要を説明したところ、本日(26日)の朝刊に遺跡公開のレビューが掲載されました。さっそく大学には、一般市民から「明日は雨天決行ですか」の問い合わせがあったようです。
27日の公開は、雨天決行です! さて、埋蔵文化財センター長から、井戸に残る細い木杭痕跡について「井戸神の息抜き」説をご教示いただきました。はっ、としたんです。わたしは平城宮・京で何回も8~9世紀の井戸跡を掘っているのですが、長屋王邸跡(そごうデパート建設予定地)の大きな井戸を完掘し、埋め戻そうとしたとき、近所の農村から来られている作業員さんたちが長いパイプを何本か用意されたのです。それは、「井戸神の息抜き」なのだと説明されました。
井戸はたとえ枯れても埋めてはいけない、という戒めが日本各地に伝承されています。井戸を埋めると、井戸神が呼吸できないようになるから、井戸は埋めてはいけない。どうしても埋めたい場合には、井戸神が呼吸できるように「息抜き」を井戸に刺したまま土を埋めていくのです。「息抜き」には古くは竹が使われ、近年ではパルプのパイプややビニールホースが代用されるようになっています。思い返すと、わたしは長屋王邸での経験をもとに、「井戸神の息抜き」というエッセイを書いたことがあります(掲載誌は何だったかな??)。そうか、これでなにもかも説明できる。公開前々日に「目から鱗」でして、昨夜の筆はよく進みました。
今日はしとしと雨が降っています。天気予報によると、明日の降水確率は10%。晴れてくれることを祈るばかりですが、雨が降ろうと槍が降ろうと、明日の公開は決行します。
みなさまのご来場をお待ちしております。

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- 2010/11/26(金) 17:58:32|
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