
田和山遺跡火災住居再建工事の竣工検査にいってきました。この日が3回めの指導です。燻蒸中の失火で焼却された土屋根住居をできるだけ忠実に再現しようという工事ですから、そんなにやっかいではありません。じっさい、前2回の指導は半時間あまりで片づきました。
「順調ですね」
そのひと言でお終いです。しかし、今回は事前に送られてきたデジカメデータを目にした段階から「良くない」と感じ、いったん修正をメールで要求したのですが、修正後の写真をみても「あまり改良されていない」というのが正直な感想でした。そのコメントはもちろん市に連絡してあります。
はたして、現地でみた復元建物には問題がある。なにが良くないのか、あまり詳しくは言えませんが、「越屋根」の造形と構造に注文をつけました。建築関係者以外の読者はよくわからないでしょうから、少し砕いて説明しますと、越屋根とは棟の上にのる煙抜き用の草屋根のことです。残念ながら「やり直し」です。茅葺き職人さんには申し訳ないですが、わたしの仕事は良い建築をつくることなので、駄目だと思うところはそのとおり伝達するしかありません。
先週、松江では雪が降ったそうです。この日、田和山は快晴でした。3度訪れていずれも快晴だったので、わたしはきっと「晴れ男」なのでしょうね。とりわけ、この冬の日は雲ひとつありませんでした。麓の草葺き復元建物から山頂を望み、わたしはぽつりと口にしたのです。
「ここは、ぼくらのパルテノンだね・・・」
だれかが相づちを打ちました。
「そうですね・・・古代のお城です」
- 2010/12/20(月) 00:26:26|
- 史跡|
-
トラックバック:0|
-
コメント:0