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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

恋の影

 年末の大分をレンタカーでドライブしている間、取り寄せたばかりの2枚のCDをずっと聴いていた。いずれも、青江美奈のニューヨークでの録音アルバムである。一枚は『The Shadow of Love』、もう一枚は『Passion mina in N.Y.』。
 青江美奈はもともとジャズ・シンガーであった。岩波洋三のライナーノーツによると、クラブ歌手時代の芸名は「鈴原志麻」といったらしい。1965年、ビクターレコードにスカウトされ、青江美奈として「恍惚のブルース」でデビューする。以来、森進一と並ぶハスキー&ため息路線の演歌歌手代表として昭和の歌謡界に君臨したことはだれでも知っていよう。演歌歌手としてのイメージが強烈だが、ちあきなおみ以上に、歌のルーツにあるのはジャズであり、『The Shadow of Love』(1993)でその真骨頂を聴くことができる。名をあかさなければ、歌い手を「ヘレン・メリル」と答えるリスナーすらいなくはないだろう。とりあえず『The Shadow of Love』の曲目ラインアップをご覧下さい。

   1. Cry Me A River
   2. It's Only A Paper Moon
   3. The Man I Love
   4. Love Letters
   5. Lover, Come Back To Me
   6. Bourbon Street Blues
   7. Harbour Lights
   8. When The Band Begin To Play
   9. What A Differance A Day Made
   10. Green Eyes
   11. Gray Shade Of Love
   12. Sentimental Jorney
   13. Honmoku Blues

 これらのスタンダードを名うてのミュージシャンをバックに青江美奈は英語で見事に歌っている。フレディ・コールとマル・ウォルドロンがほぼ交互にピアノとアレンジを担当しており、コールはときにボーカルも務める。青江とコールの声質はよく似ていて、息もぴったり。さすがにマルは歌っていないけれども、「マル・ウォルドロン」というネームは、ジャズ好きにとって、「セロニアス・モンク」や「エリック・ドルフィ」に匹敵するほどの重みがある。マルがピアノを弾き、アレンジをして、青江美奈が歌っているという情報をえた段階で「即買い」を決断しなきゃ男じゃない。


 さて、上の13曲のなかに青江の持ち歌が2曲含まれている。ひとつは13の「本牧ブルース」。「本牧ブルース」と言えば、ゴールデンカップスと思われるでしょうが、青江の「本牧ブルース」は別の歌です。作詞はいずれもなかにし礼だが、青江のほうがブルージーで気怠いムードが強く出ており、このアルバムの最後にもってきたのは、まちがいなく青江のお気に入りだったことの証しであろう。青江だけでなく、マルのイメージとも重なりあう悲しいメロディをしていて、あろうことか、歌詞の英訳(というか英語の作詞?)をマル自身がてがけている。
 さてさて、もう1曲の持ち歌は6です。「バーボンストリート・ブルース」なんて知らないぞ、と思われることでしょう。高田渡の単行本ではありませんよ。じつは、「伊勢佐木町ブルース」の英語版です。これがカッコイイんだ。他の12曲は4ビートのスタンダード・ナンバーですが、「伊勢佐木町ブルース」だけ8ビートのモーダルなフュージョン系のアレンジになっている。聴いてるだけで、元気がモリモリ湧いてきますよ。願わくば、グローバー・ワシントンJr.のテナーがもっと炸裂していたら、と思う。このアレンジならば、ウェイン・ショーターかデイブ・リーブマンでも呼んできて、コルトレーンもどきのアドリブをソプラノで演らせたら面白かっただろうに・・・

 じつは、ここだけの秘密にしてほしいのですが、小生、カラオケの十八番が「伊勢佐木町ブルース」です。この歌をうたって、受けなかったことはありません。わたし自身そうとう自信をもっている持ち歌?なのですが、1名ライバルを発見。下は桑田佳祐の「伊勢佐木町ブルース」弾き語りです。桑田は年末の紅白で大すべりしてたけど、やっぱりなかなか手強いですね。



  1. 2011/01/07(金) 00:17:08|
  2. 音楽|
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