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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

ドーハのアジア杯(Ⅰ)

威風堂々

 前半終了間際、ヨルダン選手の蹴ったボールが吉田の足にあたってゴールした瞬間、「今日は吉田のゲームになるな」と直感した。わるい例を引き合いに出すならば、昨年の南亜W杯のブラジルvsオランダ戦におけるフェリペ・メロのような役割を、吉凶どちらかで、吉田が演じることになるだろうという予感である。

 吉田麻也という選手をわたしはまったく知らなかった。怪我人だらけのCB陣にあって、ヨルダン戦のストッパーがだれになるか注目されたが、「吉田」というアナウンスに首を傾げつつ、その選手を映す画面をみて驚いた。身長187㎝(189㎝とする記事もある)。こんな大柄なストッパーが日本にいたんだ・・・グランパスからオランダのVVVに移籍した選手だと聞かされ、「あぁ、そういえば」とは思うものの、名前と顔がまったく一致しない。しかし、画面をみると、精悍な顔付きをしている。日本が待ちに待った大型センターバックの出現かと胸騒ぎした。

 前半の中ごろ、吉田はバネのきいたボレーシュートでヨルダンのゴールネットをあっさり揺らしてみせた。胸騒ぎの予感が現実に変わったと喜んだ瞬間、オフサイドの判定。あれはオフサイドなのだろうか? 吉田より前に選手はたしかにいたが、吉田のシュートと前の選手の位置取りには関係がない。中東ではなく、東アジアが開催地であったならば、すんなりと得点が許されるケースではなかったか。しばし時間が流れ、前半の終わりを迎えて、こんどは吉田のつま先からオウンゴールが生まれた。日本は1点を追う展開を強いられる。
 後半、香川がトップ下に入り、日本の攻撃は威力を増していった。1-1においつくパターンだ。あれだけ攻め続けていれば、いずれ点が入るだろうと余裕をもってみていたが、2枚カードを切っても、なおゴールが奪えない。解説者が「3枚めのカードが切りにくい状態になりましたね」と繰り返した後半30分すぎから、この日はこのまま負けるかもしれない、という不安がよぎりはじめた。右サイドバックの内田を下げて得意の3バック(3-4-3)にシステムを変え、攻撃陣を1枚増やせばよいのではないか、と思っていみていたのだが、ザッケローニは動かなかった。
 
 一方、吉田はといえば、オウンゴールが尾をひいているのだろう、後半になってミスが目立った。フィードの悪さが目につく。


 後半44分、ザッケローニはようやく3枚目のカードを切った。この戦術には驚いた。ロスタイムしか残っていない終盤に選手を替えるのは、勝っているチームのやることだ。それを負けている日本がやろうとしている。しかも、交替させるのは、エースの本田だった。ザッケローニは本田の疲れと不調を見抜いていた。選手の名前に惑わされず、サッカーをみる目がある証拠ではないだろうか。ロスタイムは5分近くあった。忸怩たる想いで結果を待つよりも、最後の1プレーか2プレーに賭けるのが勝負師だ。これが修羅場をくぐってきた監督のやり方なのか・・・本田との交替でピッチに立った藤本はいきいきと動き、チームに活力を与え、負けを覚悟し始めたチームが蘇った。「点が入るかもしれない」という期待が上半身を覆い始めたそのとき、長谷部のクロスに長身の選手がヘッドであわせて、同点。吉田だった。

 吉田は試合後のインタビューでも堂々としていた。試合内容をふりかえると、吉田の出来は良いとは言えなかっただろう。しかし、なにより風格がある。ザッケローニと同じぐらいの風格を、威風堂々の吉田に感じた。それは、遠藤にも、長谷部にも、長友にも、岡崎にもないものである。いずれトゥーリオと吉田のコンビが日本代表の最終ラインを支える時代がくるのだろう。そうなると、槇野はサイドバックにまわるしかない。長友-トゥーリオ-吉田-槇野の4バックを、早くみてみたい。

  1. 2011/01/12(水) 13:02:16|
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