札幌市内に丘珠(おかだま)という空港があることを知る人は少ないだろう。千歳は、札幌市外にある国際空港で、丘珠は道内に飛ぶ飛行機の発着地である。
早朝7時半の丘珠では、しんしんと雪が降っていた。滑走路には除雪車がみえる。8時半発の標津行だけでなく、函館、釧路、稚内、女満別、すべての便が待機状態で、気候調査の結果を待っている。チェックイン・カウンターによると、
「標津ではなく、丘珠の除雪と気候調査のため」
だという。標津の担当者に電話で確認したところ、たしかに向こうでは雪が降っていない。

8時20分、すべての便がフライト可能であることがアナウンスされた。ただ、稚内の便だけは、
「千歳、もしくは旭川空港に着陸する可能性があることをご了承ください」
との補足説明があり、かすかなどよめきとともに、嘆息と失笑が交差した。
標津に向かうプロペラ機はおよそ1時間近い遅れで、丘珠空港を離陸した。そして、40分ほどで根室中標津空港に無事着陸。

10時すぎから、平成17年度第2回「史跡標津遺跡群、天然記念物標津湿原整備委員会」が始まった。わたしともう一人の委員が丘珠で足止めをくっているだけだから、委員会はすでに始まっているだろうと思っていたのだが、陸路の委員にも遅れがあったらしく、開始を遅らせることにしたようだ。
上記のとおり、この整備委員会は遺跡だけでなく、湿原の整備を包括しており、委員には農学系、生態系、環境学系の専門家が含まれており、環境と景観の問題に重きが置かれる。素晴らしいことだ。ゼロエミッションの思想が整備の根本にあって、二次林などを伐採して植生を復元するが、伐採した木材は復元建物やビジター・センターに使うことがほぼ合意された。おもしろかったのはバイオ・トイレで、移動式トイレの貯糞ボックスに大鋸屑(オガクズ)をまぜて大便と攪拌すると、まったく臭わない鹿の糞のような堆肥に生まれ変わる。ただし、尿を混ぜてはいけない。富士山に設置するトイレのコンペに勝利した作品のうちの一つであって、すでに北海道ではひろい範囲に普及しているという。製造元は正和電工。
遺跡整備では、トイレの配管による遺構の破損がいつでも問題化するから、バイオ・トイレはまさに救世主といえる。妻木晩田にも導入したらいいだろう
- 2005/12/17(土) 20:56:34|
- 史跡|
-
トラックバック:0|
-
コメント:0