
皆さんこんにちは。久々の登場、竹蔵です。昨夜の記事には溜飲がおりましたね、だはは・・・
さて、1月29日に開講された集中講義「産業企業研究」では、午前中に本学サステナビリティ研究所の建設現場、午後に登録文化財「五臓圓ビル」の修復現場を見学しました。本来なら午前の授業からレポートを始めるべきでしょうが、なにぶん一昨日のブログが本文のイントロということで、午後の活動からまず報告させていただきます。
五臓圓ビルは鳥取市内の智頭街道と二階町筋が交差する角地に建っています。鳥取市に現存する最古のRC造建築で、昨年登録文化財になりました。五臓圓ビルは、竣工した昭和6年当時、群を抜くモダン建築でした。鳥取大地震(昭和18年)と鳥取大火(昭和27年)にも耐え抜き、築後80周年を迎えようとしています。そのぶん老朽化も激しく、まちのなかでは取り壊しの声もあがっていました。しかし、智頭街道商店街の有志の方々がまちづくり会社「いちろく」を立ち上げ、粘り強く尽力して保存・活用を実現した経緯があります。五臓圓ビルの建つ智頭街道商店街は空洞化に悩み、なにか地域の活性化のきっかけになるようなものを求めてもいました。「昭和史の生き証人」である五臓圓ビルをこの地域活性化の拠点とするべく、現在修復・改修の総仕上げがおこなわれ、3月に修復工事が完了しオープンする予定です。
今回、特別に工事中の内部を見学させていただきました。しかし、中に入る前からその姿に仰天。壁に貼られた6000枚のタイルとピンクの塗装の様式建築の意匠は存在感抜群。改修されたその姿は昭和の時代へと人びとをタイムスリップさせてくれる魅力が! その姿に少々興奮。一昨日紹介されていたように、見学の前に五臓圓薬局さんで味見させていただいた超高級滋養強壮剤も効いている?……なんて思いながらも建物内の見学へ。ヘルメットをお借りしいざ出発。1階から順に常村さんに案内していただきながら見てまわります。私は今回初めてビルの中に入らせていただいたのですが、工事は予想以上に進んでいました。なかでも劣化が激しかったという3階部分は、H型鋼による補強が露出していますが、塗料などが工夫されてうまくデザインされており、もともと使われていた建具をそのまま利用するなど、できるだけ創建当初のものを残すよう努力がなされていました。登録有形文化財ということで、内装については比較的規制がゆるく、大胆な改造がなされていました。


昭和6年の竣工当時、1Fを店舗及び住居、2Fを住居、3Fを喫茶&レストラン「ソーダファウンテン」としていました。3階の「ソーダファウンテン」は、神戸からコックを呼び寄せた洋食レストランとして大繁盛。五臓圓ビルを中心とする智頭街道は大正から昭和初期にかけてにぎわい、鳥取市一の繁華街になっていました。しかし、客足はその後、若桜街道商店街などへと移って行き、活気が失われていきました。商店街に活気を取り戻す拠点となることを期待されている五臓圓ビルは、修復・改修後、1Fを五臓圓薬局店舗、2Fをカフェ&ギャラリー、3Fを鳥取大学のサテライト施設「まちなか工房」として活用する予定です。
文化財建造物の修復工事を見学できる機会はめったにありません。貴重な体験をすることができました。現在私は卒業制作として、倉吉の本町通商店街の一部に「昭和レトロ街」を構想し、地域の活性化を図る研究に取り組んでいます。鳥取市と倉吉市では事情が異なっている部分もあるでしょうが、同じ活性化をめざしている人間として、今日のお話は大変参考になりました。卒業研究も佳境ですので、がんばります!
最後に、五臓圓ビル見学でお世話になった皆さん。本当にありがとうございました。(竹蔵)
- 2011/02/04(金) 00:21:37|
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