ある医院の待合い室で『週間朝日』のページをめくっていた。最近は老眼鏡がないと、週刊誌すら読めない。鞄のなかだけでなく、自宅や職場のあちこちに老眼鏡をおいている。その日は、人民解放軍の
弾倉袋に結びつけたケースから折りたたみ式の小型老眼鏡をとりだし、活字をおっていた。
あるページに「ちあきなおみ」の6文字を発見した。高名なフェミニストがちあきについてなにやら小難しいことを書いている。その記事はコラムであり、診断待ちの時間に前後の号を追ってみると、少なくとも4号にわたって、ちあきに係わる記事が連載されている。しかし、その連載記事は孫引きであった。フェミニストが自ら調べあげたものではなく、『ちあきなおみ』という単行本の内容を素材にして評論めいた発言をしているにすぎない。
『ちあきなおみ』という書名の単行本が存在することは、わたしにとって大きな衝撃だった。
著者は石田伸也というフリーライター。わたしより5歳若いから、まだ50歳になっていないんだな・・・本のタイトルは『ちあきなおみ』でよいと思うのだが、正式にはだらだらしたキャッチコピーがまとわりついて、以下のようになっている
ちあきなおみ 喝采、蘇る。 沈黙15年、初めて明かされる歌姫の真実 版元は徳間書店、出版年月日は 2008年3月19日。その年、ちあきは還暦を迎えている。
おもしろかった。余計なお説教を取り払えば、こんなにも読みやすくなる。ちあきなおみという歌手の半生について認識が深まった。著者の石田氏に感謝したい。
それにしても、それにしても、ユーチューブという媒体が生まれて本当に良かった。こうして、ちあきなおみ全盛期のステージをいつでも見ることができるのですからね。彼女がかりに復活したとしても、その歌い手はすでに「ちあきなおみ」ではなくなっているかもしれません。王・長島のクリーンナップを再現することができないように、画面にみるちあきなおみはもうどこにも居ない。ユーチューブのなかにだけ彼女は生きているんです。
- 2011/02/10(木) 00:00:57|
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