旧石橋酒造「空間」の再生ワークショップ 2月13日(日)、出雲市平田町の木綿街道を訪れました。今回は私にとって四度目の平田訪問になりますが、その目的は副題のとおりワークショップへの参加と、昨年末よりおこなった調査成果の報告です。会場には、町内外から約40名以上の方々が集まり、旧石橋酒造のハナレ座敷も往年の賑わいを取り戻したかのよう(↓)。摩尼寺奥の院発掘現場での写真撮影でもお世話になった山村さんも来られ、研究室からはエアポート、部長、きっかわ、ヒノッキーの4名が参加しました。ちなみに竹蔵・轟は卒業研究展に備え大学で留守番です・・・。
ワークショップは2段階構成で、前半に講演としてASALABからの調査報告、そしてコメンテータの眞田さん(倉吉市教育委員会)が重伝建地区の実状を倉吉の経験に基づいてお話しされました。後半に「旧石橋酒造の活用と木綿街道の今後について」をテーマにワークショップが行われました。
成果報告の前には主催者である木綿街道振興会から概要説明があり、2001年に発足してからの活動と「住まい・まちづくり担い手事業」での活用実験の報告がありました。改めて感じたのは、振興会や地元の方々の熱意と行動力。清掃活動やカフェの実験的営業、大学とのアートを通じた交流など多岐にわたって「まちおこし」を模索されています。なにより、諦めることなく行動し続けるその持続力がすばらしく、その根底にあるのは地元への愛着であり、その思いがにじみ出るようなお話しに発表前から胸が熱くなりました。
そして調査成果の報告へと相成るわけですが、まず先生よりアドバイザになるに至った経緯と研究室のこれまでの調査実績についてのご説明。研究室発行の倉吉町並み調査の報告書を紹介し、町並み保全の方向性にかかわらず、報告書を積み重ねていくことの重要性について説かれました。そしてその第一ステップとして今回の調査がある、ということで成果報告へ。その頃には、会場もほぼ満席状態でやや緊張・・・。発表では、文化庁の「伝建制度」にスポットをあてて重伝建地区の定義や選定の仕組みなどを説明し、年末年始の木綿街道悉皆調査の成果を分布図等で報告するとともに、町並みをいかに保全していくかを提案させていただきました。結論から言えば、木綿街道およびその周辺の町並みは重伝建地区に値する価値を持っており、今後地区内に登録文化財を増やすことが必要だということ、また旧石橋酒造は市の所有になるならば、奇抜な「活用」を図るよりも、なにより「公開」することが重要だということを述べました。

↑会場の旧石橋酒造[18世紀後期(推定)]

私の拙い説明では、住民の方々にご理解いただけたのか不安でしたが、倉吉で重伝建選定前から尽力され、その実状をよく知る眞田さんから大いにフォローしていただきました。おそらく地域の方々が気にするところであろう補助制度についても分かりやすく紹介され、倉吉が重伝建になるまでのステップを様々な視点から説明されるなど、私自身非常に勉強になりました。また、木綿街道については住民主導でまちづくりが行われているというところを非常に高く評価され、行政主導で重伝建選定が行われた倉吉を引き合いに「うらやましい」とも仰っていました。振興会、住民の方々のこれまでの思いが報われる、素敵な言葉だったと思います。
さて、後半からは4グループに分かれてのワークショップです。地元住民、市外・県外者のほか観光振興課や商工会といった役場の方々も参加し、活発な意見交換が交わされました。ゼミ生も各グループに配され、各々に意見を述べたのでしょう。ワークショップ後の各グループの発表の際には、「あ、これはASALABの誰かの意見だな・・・」などと勝手に思うような提案も。また目から鱗の意見も飛び出したりと、とても充実した時間となりました。余談ですが、私のグループ、なんとヒノッキーが発表しています(↓)。普段は物静かなのですが、ワークショップの雰囲気が彼女を後押ししたのでしょう。これを機に、更なる飛躍を期待しています!

ワークショップも無事終わり、その後は同会場での懇親会にお招きいただきました。振興会のご婦人の方々が腕をふるった料理の数々、これが絶品でした!木綿街道の酒持田酒造のお酒を堪能した先生もご機嫌で、アジア杯やら ちあきなおみ やら話は脱線・・・ゼミ生はというと、ポーカーフェイスのヒノッキーの傍ら、赤ら顔のきっかわさんに、部長さんに至ってはヘビになってしまいました。先生のお話では数年ぶりにヘビの部長さんを見たとの事。ともあれ、とても楽しい懇親会となりました。
話は戻りますが、今回のワークショップ、木綿街道内にお住まいの方々も多く参加されていました。調査の際には温かく接していただき、調査にもご協力いただきました。この場を借りて、地元住民の方々また振興会の皆様に厚く御礼申し上げます。
繰り返しになって恐縮ですが、木綿街道の魅力は町並み、川並みといったものはもちろん、何より「人」にあるのではないかな、という事で報告第一部の結びとさせていただきます。(タクオ) 【続】
追伸: 「ひらたCATV」さんが撮影に来られていました。放送日時など分かりましたら、掲載いたします。
- 2011/02/18(金) 13:09:53|
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