
上下の写真は、さてどこでしょう? 今井町かな、それとも富田林??
大阪の天神橋筋6丁目で地下鉄を降りたその角地に、大阪市立住まい情報センターがある。10階建の堂々としたビルだ。その8階から上が大阪市立「住まいのミュージアム」で、上下の写真はそこに展示された原寸大の町並みである。桂米朝のアナウンスによれば、天保年間(1830年ころ)の大阪の町並みを再現したものであるという。
「住まい」専門の博物館は日本で唯一ということで、その開館は、驚くべきことに、環境大学の開学と同時である。つまり、2001年4月。この博物館はわたしの大学時代の先輩たちが展示構想を練り上げ、いまも運営している。いつも紀要などの資料を送っていただいているのに、これまで訪れたことはなく、今回思い切って出張計画のなかに組み入れた。
いや、驚きました。原寸大の民家を博物館のなかに展示する例がこれまでないことはない。住まいのミュージアムは違う。まず、1棟ではなく、軒を連ねる町家群、すなわち町並みの再現であり、それを現存民家の移築ではなく、諸資料に基づく復元でなしとげているところが抜群にユニークだ。「住まいのミュージアム」における復元は、遺跡上に紛い物を建てる愚かな行為とはあきらかに一線を画している。なにより、幕末の町家ともなれば資料が多いので、実証性の高い復元ができる。なかなか羨ましい仕事だと正直思った。

お客さんは結構入っている。和服を着たお姉さんたちがあちこち歩きまわっては記念撮影をしていた(↑)。中国語を話している。たしかに、日本人の女性が借り物の和服を着てレプリカの江戸の町を歩きたいとは思わないだろう。中国や韓国やヨーロッパからの訪問客なら、こういう経験がしてみたいはずだ。うまいことやってるもんですね。9階と10階が吹き抜けになっていて、江戸時代の町並み展示、8階は近代の模型展示(↓)になっている。
展示を見終え、休憩スペースで、ぼんやりビデオを眺めていた。そこで、気付いたんだな。デジカメのバッテリーが切れそうになっている。しかも、バッテリー・チャージャーを大学に置き忘れているではないか。1階におりて、天神橋筋商店街に足を踏み入れた。なんでも、「日本一長い商店街」なんだそうで、デジカメの部品ぐらい売ってるだろうという期待が高まった。しかし、長い商店街を歩き通すのも無駄なので、駅に近い薬局に立ち寄り、店主に事情を説明したところ、
「ない、ない。この商店街の電気屋はぜんぶ潰れた・・・
ヨドバシカメラ行ったほうが早いで。」
というわけで、谷町線にのって東梅田に出、まぁるい横断歩道を270度ばかりまわって、梅田のヨドバシカメラに。地方では手に入りにくいリコーのバッテリーとチャージャーをあっさりゲット。こんどは御堂筋線で天王寺まで移動し、近鉄に乗り換えて、富田林をめざした。(続)

「住まいのミュージアム」は愛称を「大阪くらしの今昔館」というのだが・・・どうもこの名前は覚えにくい。
- 2011/03/08(火) 00:05:19|
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